アルベール・エルバスが語る「今日のファッション業界」

 アルベール・エルバス(Alber Elbaz)は4月6日、オマーンで行われたラグジュアリーカンファレンスに出席し、混乱や恐れ、重圧などが広がる今日のファッション業界について語った。

Designer Alber Elbaz in Oman - Astrid Wendlandt

 エルバスは「ギ・ラロッシュ(Guy Laroche)」と「イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)」にてキャリアをスタートし、「ランバン(Lanvin)」を再興したことで知られる。同メゾンには14年間在籍した。
 
 2015年、突然決まったエルバスの「ランバン」退任にはファッション業界全体が仰天した。その後もプロジェクトの可能性を模索し続け、公式にも非公式にも様々な方面に出資を交渉してきた、という関係者の声もある。
 
 一方の「ランバン」は、昨年ブシュラ・ジャラール(Bouchra Jarrar)をエルバスの後任に抜擢したが、アメリカやロシアといった主要な市場からの発注は落ち込み、大きな赤字を記録することとなった。
 
 カンファレンスでは、「グッチ(Gucci)」、「シャネル(Chanel)」、 「ディオール(Dior)」といった大手メゾンがコレクションを急激に増やしていることに言及したエルバス。「ザラ(Zara)」や「H&M」のようなファストファッションと競合し、話題作りと集客に余念がないと指摘した。
 
 「業界の仲間と話をすると、不満の声しか聞こえてこない」とエルバス。「ランウェイショーも、コレクションの数も多すぎる。モスクワ ファッションウィーク?いや違った、インド ファッションウィークだ。という具合にね。どのシーズンなのかもわからなくなってくる。秋冬?春夏?それともリゾートか?クルーズ?きっとこの先もまだまだ出てきて、終わりがない。誰も幸せじゃないなんてあり得るかい?恐怖がまん延して、愛が足りなくなっている」。
 
 近年のラグジュアリー市場の停滞に加え、インターネットを上手く使った小規模ブランドを志向する顧客も増えてきた今、大手メゾンにも競争の必要性が生じている。今日の厳しい経済情勢において、ファッション業界にはリスクを負うだけの気概がないとエルバスは批判した。
 
 「何かを創り出すときは、まず第一に、夢と直感から始めるべきなんだ。マーケティングはそれに続くのであって、決して先に来るものではない。もちろん、直感に従えばリスクが伴うことも知っているよ。それに、ミスを犯せばすごく高くつくこともね。投資家はミスを理由に解雇するかもしれない。でも、僕らは皆知っているはずだ。世紀の発明は、誰かが直感を信じてそれに従ったからこそのものだってことをね」。こう語った後、エルバスは今日のファッションデザイナーの役割についても疑問を投げかけた。
 
 「カウンセラーに一度こんな話をされたことがある。現代の女性が、もし顔や唇や体や髪や、そういうものを買い替えることができたら、体が新しい服になるんじゃないか、ってね。もしかすると、職が無いデザイナーが沢山いるのはそういう理由なんじゃないかな。デザイナーの役割とは何だろう?服を着せること?それとも脱がせること?」。
 
 先日、日本では「コンバース(Converse)」のゲストデザイナーとして、ハイエンドライン「アヴァン コンバース(Avant Converse)」を手掛けたエルバス。他にも、フランスのフレグランスブランド「エディション・ドゥ・パルファン・フレデリック・マル(Editions de Parfums Frédéric Malle)」から香水「スーパースティシャス(Superstitious)」を発売している。
 

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