カンヌ映画祭で男女平等を訴えたウィメンズ・マーチ、参加者全員が着けた「50/50」ブローチとは

 フランスで開催された「第71回カンヌ国際映画祭」のレッドカーペットで、女優ケイト・ブランシェット率いる82人の女性たちが男女格差の是正を訴える「ウィメンズ・マーチ」が注目を浴びた。その参加者全員が、唯一揃って身に着けたブローチがある。制作したのはフランスの刺繍ビジューブランド「マコン・エ・レスコア(Macon & Lesquoy)」。「50/50」と刺繍された小さなブローチはなぜ作られたのか。

カンヌ国際映画祭のレッドカーペットで行われたウィメンズ・マーチの様子 @Allrightsreserved

 カンヌ国際映画祭では、71年の歴史の中でコンペティション部門にノミネートされた男性監督作品が1,645本であるのに対し、女性監督の作品数は82本。今年もノミネート21作品のうち女性監督の作品はわずか3本と少なく、男女格差や多様性の欠如が問題視されていた。ウィメンズ・マーチはこの映画界における格差是正を訴えたもので、女優でコンペティション部門の審査委員長を務めたケイト・ブランシェットら女性の映画関係者が参加。レッドカーペットで82人全員が自発的に身に着けたという「50/50」のブローチにも注目が集まった。
 
 ブローチを制作した「マコン・エ・レスコア」は、パリの国立高等デザイン工業学校で出会ったマリー・マコンとアンヌ=ロール・レスコアが2009年に立ち上げたブランド。トレンチコートに付いたシミや、カシミヤニットにできた虫食い穴を隠すアイテムとして、パキスタンの職人が手作業で刺繍やビジューを施したブローチや、ポルトガルの刺繍用機械を使ったワッペンを製作している。アイテムはヨーロッパを中心に約300店舗で取り扱われており、2017年末にはパリのリパブリックに直営店をオープン。フランスの映画制作会社Haut et Courtの新作グッズのプロデュースをはじめ、ウェス・アンダーソン監督や「パピエ ティグル(Papier Tigre)」「ディプティック(Diptyque)」とコラボレーションするなど、幅広く活動している。
 
 「50/50」のブローチは、Haut et Courtの女性スタッフらが映画界における男女平等の実現を目指して立ち上げた協会「5050x2020」の依頼で制作。ウィメンズ・マーチに参加する全ての女優が自然な形で着用できるように、2種類のブローチはいずれもミニサイズで、オートクチュールやスモッキングドレスといったスタイルを崩さないように配慮。ブラックのフェルト地にゴールドで刺繍された「50/50」の数字は、男女平等を表している。
 
 ブランドがこういったムーブメントのためにアイテムを制作したのは初めて。デザイナーの2人は「50/50に参加したメンバーは、映画祭の期間中もたくさんの仕事やパーティー、また彼らの普段の生活もあります。もし私たちが中途半端なモノを作ったら誰も身に着けなかったかもしれませんし、それほど広がらなかったかもしれません」と振り返る。ファッションはムーブメントを演出し波及させていく重要なツールにもなるが、「5050x2020を立ち上げるほどの強い熱意がなければ成し得なかったと思います」とし、メンバーらに敬意を払った。6月20日から4週間はブランドのオンラインショップ(日本からの購入も可能)とパリの店舗でブローチを販売する予定。全ての収益は50/50協会に寄付される。
 
 ブランドは来年で10周年。これを記念し、俳優やミュージシャン、作家などとのコラボレーションや、ファン達に向けたイベントといった、様々なサプライズを計画しているという。



2018年秋冬の新作展示会の様子

 

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