タイ出身のBFGU助手が第91回装苑賞を受賞、巧妙な手作業による"モダンニッティ"が高評価

 高田賢三や山本耀司など数々の著名デザイナーを輩出してきたファッションコンテスト「装苑賞」の第91回公開審査会が6月13日、東京・代々木の文化学園遠藤記念館大ホールで開催された。2次審査を通過した候補者16人が、各3体のコレクションを発表。装苑賞は「モダンニッティ(Modernknitty)」をテーマに、巧妙なハンドニッティングにより美しい曲線を描く作品を発表したアピチャート・ナランシャーが受賞した。

装苑賞を受賞したアピチャート・ナランシャーと作品

 日本を代表するファッションコンテスト「装苑賞」は、1956年に創設されたファッション界の新人賞。審査員には岩谷俊和やコシノジュンコ、高島一精、田山淳朗、津森千里、廣川玉枝、皆川明、三原康裕が名を連ねる。今回装苑賞に輝いたアピチャート・ナランシャーは1987年タイ出身、2014年文化ファッション大学院大学ファッションビジネス研究科ファッションクリエーション専攻ファッションデザインコース入学、2016年に同校を修了、現在文化ファッション大学院大学(BFGU)で教授の助手を務めている。テーマの「モダンニッティ」は、自身がデザインの軸とするモダニティ(Modernity)とニット(Knit)を掛け合わせた造語。「Movement-to-Reflection」をコンセプトに、 建築家フランク・ゲーリー(Frank Gehry)の建築にも見られる動き出すような曲線や、躍動的で大胆なシルエットを表現するため、ウールとゴムでできた保形性を持つ糸を手作業で編み合わせ、光を反射するシルバービーズを効果的に用いた。材質や太さも異なる素材を組み合わせることで新しいテキスタイルとシルエットを生み出した。全て手作業のため、1体につき1カ月の制作時間を要したという。授賞式ではトロフィーと賞金100万円などが贈られ、審査員からは「構造体として、素材としてデザインを完成させたことが素晴らしい」(皆川)、「美しいと思う中に、よく見ると面白い構造が見えてくる。その時間差に、また感心した」(三原)といった称賛のコメントが上がった。今後についてナランシャーは「服だけではなく、インテリアやアクセサリーなどのデザイナー、クリエーターとして活動したい」と話した。
 
 佳作1位は、蛾をモチーフに、色や形を服に落とし込んだ作品「Nature impact -pure beauty in the wild-」を発表した野中優、佳作2位は「生き物のような服を作る」をコンセプトに、小さなパーツをうねりを持たせながら手縫いであしらった作品を発表した日下宗隆、アジアン・クチュール・フェデレーション賞は精巧な時計を制作するショートムービーからインスパイアされ、革を時計の部品を表わす形に刻み、土台のドレスにネジで結びつけ内部構造を表現した良宇、Rooms賞は「線の重ね着」をテーマに、線を重ねることで奥行きや立体感を生み出し、シルエットはジャケットやトレンチコートなどをベースに再構築した井上飛哉がそれぞれ受賞した。
 

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