パリ ファッションウィーク:「シャネル」のクリスタルクリアなプラスチック

  毎回大規模なランウェイショーを行う「シャネル(Chanel)」のアイディアもそろそろ尽きてきたのではないか。そう思う絶妙のタイミングで、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は相変わらず素晴らしいセットとコレクションで観客を驚かせてくれた。

Chanel

  フランス南部にあるヴェルドン渓谷にインスパイアされ、グランパレの内部にいくつも滝を作り上げた。高さ30メートルにもおよぶ滝から、水が川に流れ込み、その間をモデルが歩く。ランウェイは木製の板でできていて、まるで野生の森に迷い込んだようだ。映画監督セシル・B・デミル(Cecil B. DeMille)もここまで成し得なかっただろうという作りになっている。
 
 しかし、生きた自然を再現した会場とは対照的に、コレクションのキーとなる素材はクリアなプラスチックだった。しなやかでハイテク、そしてセクシーなプラスチックは、ミニケープ、トレンチコート、ニーハイブーツ、手袋、パークレンジャーハットやブレスレット、そしてバッグ用の"レインコート"に至るまで様々な形で登場している。
 
 「バッグの値段を知っていれば、保護する必要があることもわかるだろう!」とラガーフェルドはバックステージでそう話した。
 
 プラスチックの中身はとてもシックなウェアの数々で、ピンクとブルーのチェックのカクテルドレスや、ほつれたプレイドツイードのブラ、大胆にフリンジを出したジャケットに、ハイカラーと宇宙服風のショルダーラインが登頂的なノースリーブドレス、そして大ぶりのタータンチェックのモヘアコートにはクリスタルのベルトでウエストをマークしてみせた。足元はシースルーのプラスチックに、ブラック トウにロゴをあしらったシャネルのクラシックなデザインを組み合わせたブーツを提案。
 
 記者の質問には、「なぜプラスチックかって?疑問にも思わないな。もし私が気取った人間なら、答えの一つでも見つけてみせるんだろうけどね。私はただアイディアを夢にみるだけだ。あなた方がそれを書く。ファッションについて説明したり哲学者ぶったりするのは好きじゃない。ショーも自分では見ていないけど、あなた方は見ただろう。私はスピノザじゃないんだ」と答えたラガーフェルド。
 
 招待状にもプログラムにもプラスチックが使われていたが、それも含めて素材はすべて「シャネル」専用に開発したものだ。
 
 「プラスチックは美しい。40年前には存在しなかったが、質も非常に良い。それに古き良きフレンチな生地はつまらないから、それより良いだろう」と語るラガーフェルドは、ホワイトのツイードコートやプリンセスドレスにもプラスチックのトリムをあしらってみせた。
 
 招待状のデザインも1週間前に変更したと明かし、ある日夢に見たモダンな「シャネル」ガールをスケッチしたのだという。スケッチには、大振りのイヤリングとクロシェ帽をかぶった女性が描かれている。
 
 「良いアイディアは夢で見るんだ。夢遊病なのかもしれないな」とカール・ラガーフェルドは頷いてみせる。
 
 「水がないと生きていけない。だから私にとっては、滝というのは本当に、本当に、本当に健康的なものなんだ」とも付け加えた。折よく、グランパレの上には虹がかかっていた。
 
 

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