パリ ファッションウィーク:新生「ジバンシィ」のデビューは"協議中"

 新アーティスティックディレクターのデビューが相次ぐ中、パリで最も注目を浴びていたショーの一つが、クレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)手掛ける「ジバンシィ(Givenchy)」だった。

Givenchy - Spring-Summer 2018 - Womenswear - Paris - Photo: PixelFormula

 パリの裁判所、パレ・ド・ジュスティスを会場に行われた今回のショーだが、彼女はファッション評論家という厳しい陪審員たちの前でコレクションを披露することになった。正直なところ、判決は「まだ協議中」といったところだろうか。
 
 売れそうなウェアは山ほど見られ、たとえば柔らかいノースリーブシャツや、シルクのブラックカクテルドレス、さらにレースとラッフルシフォンを組み合わせたプレーリードレスなどは目を引いた。さらに、"ベッティーナ"ブラウスをはじめ、メゾンのクラシックなアイテムを再解釈したルックも様々な形で登場。他にも、キルト風スカートをカットし、プリーツファブリックを取り付けたスタイルは、クリーンながらセクシーだ。これもヒットしそうなリトルブーツも打ち出していた。
 
 セットは申し分ない。招待状も美しく、広い会場も壮観で、さらに1000人の招待客の中には名だたるセレブリティの姿があった。しかし、最後まで、ショー自体はやや不発だったように思われる。ただ、ワイト・ケラー初のメンズのルックが現れると、会場は盛り上がった。素晴らしいカットのメンズスーツやブレザーが登場したが、ロッカー風のルックは少しわざとらしかったかもしれない。
 
 「物理学の世界では、ある要素が別のものになるという荘厳なプロセスのことを、変形と呼ぶ」とワイト・ケラーはプログラムノートに綴っている。
 
 しかし、全体を通して見ると、やはりはっきりしないショーだった。フランスの批評家陣からは、「サンローラン(Saint Laurent)」やワイト・ケラー自身が手がけた「クロエ(Chloé)」との類似性を指摘する声も上がっていた。
 
 クレア・ワイト・ケラーは2011年から6年間「クロエ(Chloé)」のデザイナーを務め、この春「ジバンシィ(Givenchy)」に就任した。それ以前には、「プリングル オブ スコットランド(Pringle of Scotland)」や「グッチ(Gucci)」での経験もある。特に「クロエ」での成功は疑いようがなく、メゾンの注目度を一気に高めた。革新性に乏しいという批判もあるかもしれないが、彼女は確かに「クロエ」に新しいレベルの洗練をもたらしている。ワイト・ケラーのシグネチャーは、軽やかでフェミニンなウェアにヘビーなブーツを合わせるスタイルで、そこにわずかにウェスタンな要素が加わる。
 
 こういった面からも、皆が「ジバンシィ」での彼女の成功を期待していたが、今回のショーはメゾンのコードに囚われすぎたデザイナーの典型的な例であるように思われた。もちろん、彼女以前にも、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)やアレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)といった名だたるデザイナーが「ジバンシィ」で同じように苦戦してきた過去も忘れてはならない。ワイト・ケラーには、学ぶ時間がまだまだ残されている。

 

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