京黒紋付染めの老舗「京都紋付」衣類のリサイクルプロジェクトに活路

 京都で100年以上にわたり京黒紋付染めをはじめとする染色加工業を営む京都紋付が、独自の「深黒加工」を取り入れた新規事業に取り組んでいる。事業の名前は「クロフィネ(Kurofine)」。衣類のリサイクル品を黒に染めて生まれ変わらせるという内容で、伝統産業を守っている。

荒川優真氏 - 画像: Fashionsnap

 京都紋付は大正4年に創業。日本の伝統的な正装である黒紋付を独自の技法と手作業により、深い黒色に染め上げる染色事業を専門としてきた。呉服業界の市場縮小に対応するため、2003年に同社オリジナルのアパレルブランドを立ち上げたが、2013年頃に生産を終了。同時期に加工ブランド「れい」を立ち上げ、2015年頃からはOEMを本格的に開始するなど、現在は洋装の染色をメインにしている。
 
 クロフィネは、環境保全団体WWFが提案する衣服の再活用プロジェクト「Panda Black」を経て、2016年11月に始動。通常の黒染めをした後に天日干し乾燥を行い、一点ずつ手作業で特殊な染液につけていくことで深く鮮やかな黒色に染め上げることができるほか、黒の濃淡の表現もできる。現在はゲオホールディングスが運営する「セカンドストリート」や「ジャンブルストア」と提携し、月500着以上と徐々に受注件数を増やしている段階だという。
 
 同社の荒川徹社長の息子で、5代目として経営に携わる荒川優真氏は「和装の分野は、ほとんど仕事にできない現状」と話す。伝統工芸は費用だけではなく時間的コストもかかる。さらにファストファッションの台頭が業界に大きな影響を与え、京都府内の京黒紋付染めを専門する企業は約100社から2社に減ったという。一方で、過去に「ネハン ミハラ ヤスヒロ(Nehanne Mihara Yasuhiro)」の2017年春夏コレクションをはじめ、「ドレスキャンプ(Dresscamp)」とサマンサタバサのブランド「サマンサキングズ(Samantha Kingz)」のコラボ商品や「アンリアレイジ(Anrealage)」「ハート(Haat)」の製品を手掛けるなど、日本ならではの伝統技術を高く評価する動きもある。同氏は日本が衣類のリサイクル率が低いという背景を踏まえ、加工サービスでシェアを獲得していきたい考えだ。今後はインテリア分野への進出や、クラウドファンディングを活用した新たな取り組みを検討しているという。

 

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