ケリング、「クレージュ」を取得か

 「グッチ(Gucci)」や「バレンシアガ(Balenciaga)」を所有するケリング(Kering)グループあるいは系列投資会社のアルテミス(Artémis)が「クレージュ(Courrèges)」の過半数株式を取得する予定で、交渉完了を間近に控えているという。

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Courrèges - Spring-Summer2017 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 ブランド買収の噂が浮上したのは、パリで開催されたヴォーグ・ファッションフェスティバルでの一幕からだった。コンデナスト(Condé Nast)フランスのグザヴィエ・ロマテ(Xavier Romatet)CEOとの質疑応答にて、ブランド創業者である故アンドレ・クレージュ(André Courrèges)の配偶者、コクリーヌ・クレージュが割って入り、ケリングのフランソワ=アンリ・ピノー(François-Henri Pinault)CEOに対してこう言い放ったのだ。
 
 「私はあなたが『バレンシアガ(Balenciaga)』でやっていることは好きになれない。下品だわ。これから『クレージュ』に対してやろうとしているだろうこともね」。
 
 メゾンのシグネチャーカラーであるホワイトに身を包んだコクリーヌ・クレージュは、次にA3サイズのシートを取り出した。「バレンシアガ」のロゴが片側に、そして半裸の女性のイメージがもう片側に配置されている。
 
 それに対し、「『バレンシアガ』でやっていることを非常に誇りに思っています」と答えたピノー。すぐに警備員がやってきて、夫人は会場の外へ連れ出された。
 
 CEOが「クレージュ」買収について言及することはなかったが、ケリング、もしくはピノー一族の投資会社アルテミスグループ(Groupe Artémis)がブランドの経営権を取得しようとしている、というのが、事情に詳しい関係者筋の味方だ。現在、ブランドはジャック・バンジェール(Jacques Bungert)とフレデリック・トルロタン(Frédéric Torloting)が所有している。既に2015年の時点でアルテミスが「クレージュ」の株式30%を取得していたという話もあったが、この件については、ケリングの広報が当紙に対し事実を認めている。しかし、それ以上の詳細については口を閉ざした。今年6月、ピノー一族がアルテミスを通じて「ジャンバティスタ・ヴァリ(Giambattista Valli)」の過半数株を取得したことは記憶に新しい。

 「クレージュ」の業績は公開されていないものの、年間売上高は2000万ユーロ(約 円)に届かず、利益に至ってはおそらく赤字であろうと言われている。ウェブサイトの取扱い店舗リストには100店舗ほどが挙げられているが、そのほとんどがアイウェア専門店だ。今年に入ってフランスのポーにある生産拠点も閉鎖してしまい、従業員23人のうち18人を解雇した。パリ1区に構えた旗艦店に関しては、メゾンが継続して所有しているものと考えられている。
 
 4月に就任したフランソワ・ル・メナエーズ(François Le Ménahèze)社長は、交渉については一切耳にしていないと話した。「クレージュ夫人の件については色々と聞いていますし、少し変わった方だという話です。ピノーさんにあまり好意的でないことも知っています。噂は沢山ありますね。私は数ヵ月前に着任したばかりです。ブランド売却については聞いていませんが、メゾンの維持と拡大に努めるだけです」と同氏。
 
 昨年亡くなったアンドレ・クレージュは、1961年に「クレージュ」を設立。クリーンでジオメトリックなデザインと単色使いの構築的なシルエットが評価され、デザイナーとしての影響力を高めた。ミニスカートを広めた功績はもちろん、近未来的なデザインでファッションの歴史に名を刻んだ人物だ。2011年、クレージュは自身のブランドをバンジェールとトルロタンに売却した。そして2015年、オーナー二人はセバスチャン・メイヤー(Sébastien Meyer)とアルノー・ヴァイヤン(Arnaud Vaillant)という若いデザイナーを起用し、パリのランウェイにカムバックを果たす。しかし、高い評価を得たデザイナーデュオもこの春にはメゾンを去り、後任は未だに決まっていない。

 

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