パリ ファッションウィーク:「ディオール」の五月革命

 ファッションは未来を予見し、社会が変わる前兆を察知する。マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が見せた「ディオール(Dior)」のプレイフルでファンキーなコレクションも、それを証明するものだった。就任以来、スタイリッシュなフェミニズムを提唱してきた彼女は、最近の「MeToo」運動を見越していたかのようだ。

Christian Dior, fall/winter 2018 - Pixelformula

 最初のルックが全てを物語る。ミディ丈のチェックパンツにエンジニアブーツ、そしてホワイトのウールセーターには、「C’est Non Non Non et Non!」のメッセージが。女性が「ノー」を突きつける、まさに「MeToo」運動の主張だ。
 
 サボからマリンキャップ、マニッシュなトラウザースーツにレッドのサングラスまで、女性が楽しみ、誇らし気に自由を謳歌するコレクションになっている。この「自由」は、60年代、母や叔母の世代にまでさかのぼる。アレクサンドル・ドゥ・ベタック(Alexandre de Betak)が手がけた会場のセットも、60年代にオマージュを捧げたものだった。
 
 『ヴォーグ(Vogue)』や『ハーパーズ バザー(Harper’s Bazaar)』の表紙や、「ガールパワー」ポスター、デモ行進の様子が80メートルにわたってコラージュされている。「Attenzione, parole libere(言論の自由に注意)」、「La Beauté est dans la rue(美は街角に)」といったメッセージが並ぶが、中でも目を引いたのは、1966年の「クリスチャン・ディオール」のアーカイヴから持ってきた白黒写真だった。ブランドの店の前に集まった若い女性の集団が、「Miniskirts Forever!(ミニスカートよ永遠に!)」、「Dior Unfair to Mini Skirts!(ディオールはミニスカートに対して公平じゃない!)」といったプラカードを掲げている図だ。その後、当時のアーティスティックディレクターだったマルク・ボアン(Marc Bohan)はより若い層に向けたライン「ミスディオール(Miss Dior)」をローンチしている。
 
 「ダイアナ・ヴリーランド(Diane Vreeland)が"youthquake"(youth+quakeの造語)(若さが大地を揺るがす、といった意)と呼んだものが、60年代に世界のあらゆるものを変えた、その時代に関するものなの。イギリスとフランスで生まれた動きが古いルールを捨て去り、ファッションに革命を起こした。今SNSで見られるのは、その時と全く同じものだと思う。次の世代だって、自分たちの世界を変えて、より良くしていきたいのよ!」とマリア・グラツィア・キウリ。
 
 ピースマークモチーフのセーターやポンチョといったアイテムや、ほぼ全てのルックに合わせていたキャップも印象的だった。ファンキーなパッチワークのボレロにカクテル、ラムスキンレザーのスーツはもちろん、レッドシフォンのドレスからレースのフロックなど、シースルー素材を用いたアイテムも。
 
 しかし中でも、クロシェットのドレスや、フラワーエンブロイダリーのフロックは素晴らしかった。
 
 バックに流れるのはケイト・ブッシュだ。「彼女は女性ミュージシャンの中でも特にパワフルで、このショーにぴったり」と音楽を担当したDJのミッシェル・ゴーベール(Michel Gaubert)。
 
 クリスチャン・ディオール社の経営陣も勢揃いし、ピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)新CEOの向かいには、シドニー・トレダノ(Sidney Toledano)が。さらに「フェンディ(Fendi)」の新しいCEOに就任するセルジュ・ブランシュウィッグ(Serge Brunschwig)の姿もあった。
 
 キウリは大きな拍手に迎えられていたが、ディオール社のオーナーであるベルナール・アルノー(Bernard Arnault)の姿はどこにも見当たらなかった。
 
 

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