パリ オートクチュール:「クリスチャン・ディオール」のフェミニスト風シュールレアリスム

 クリスチャン・ディオール(Christian Dior)のアーティスティックディレクターに就任して以来、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)はファッションにフェミニストなムードを持ち込んでいる。今シーズンは、クチュールにもフェミニストなタッチを加えた。

Christian Dior Haute Couture Spring-Summer 2018 - Dior

 会場のセットからメイク、コレクションに至るまで、今回のショーはレオノール・フィニ(Leonor Fini)に捧げられたものだ。フィニは30年代から活躍したアルゼンチン出身のシュールレアリストで、ローマとパリを拠点に活動。初めての個展を開いたのは、ムッシュ・ディオールの所有するギャラリーだった。
 
 メンズのウェストコートとチュールスカートの組み合わせや、ギピュールチュニックに、グレーのレースのイブニングドレスも素晴らしい。
 
 まだ就任して2年だが、キウリはアトリエを引っ張っていく力も身につけているようだ。エンブロイダリーを施したイヴニングガウンは本当にドラマティックな出来で、チュールカラムの身頃にシルバーのスパンコールで女性のトルソーを描いてみせたドレスは、マン・レイも拍手を送るだろう逸品だ。
 
 アクセサリーは、ブラックのチュールやゴールドメタルでできたドラマティックな仮面に、「プロビデンスの目」を象ったイヤリング、そしてアートな言葉が並ぶフェイクタトゥーが登場。
 
 「レオノール・フィニは、当時としては革新的な考えの体現者だった。常に独立心を持ち、起こり得るあらゆる現実を象徴する存在として、常に自己変革を行うべきだという考えの」とキウリはプログラムに記している。
 
 親会社であるLVMHグループのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長は、「素晴らしい!」と賛辞を贈った。
 
 ロダン美術館の庭に設けられた会場は、天井から石膏でできた巨大な耳や腕、鼻、脚がぶら下がり、まるで1930年代にタイムスリップしたかのようだ。しかし同時に、それがコレクションの弱さでもあった。コレクションは全てよく出来ており、美しいとも言える。しかし、過去に立ち返ったかのような感覚はあれど、未来に向かうような視点が感じられなかったことは事実だ。
 
 

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