第32回イエール国際フェスティバル、スイス人デザイナーが揃って受賞

 フランスで開催された第32回イエール国際モード&写真フェスティバルでは、2つの主要部門グランプリをそれぞれスイス出身のデザイナーが受賞した。

Vanessa Schindler - © Jérémie Leconte
 
 「プルミエール・ヴィジョン(Première Vision)」賞グランプリには、高機能素材を用いて革新的な技を見せたヴァネッサ・シンドラー(Vanessa Schindler)が選ばれた。今回の審査員長を務めたのは、「スキャパレリ(Schiaparelli)」のアーティスティックディレクター、ベルトラン・ギュイヨン(Bertrand Guyon)だ。
 
 シンドラーは、柔軟性のあるプラスチックに布地を混合し、新しいボリューム感と輝きを実現して見せた。開発には2年が費やされている。
 
 「洋服の意味というものを改めて考え、職人技というコンセプトに全く新しいイノベーションで以って立ち帰ろうと思ったんです。テキスタイルを鋳造するというアイディアでした」とシンドラー。研究の過程で、液体ウレタンを発見した。レジンの一種で、布の繊維の中に入り込むことにより表面に柔軟性と輝きを与える。
 
 長期に渡る観察と実験の末、シンドラーはこの液体を硬化させ、縫製可能な素材にすることに成功した。シリコンを思わせるこの素材は、特殊なボリューム感を与え、まるで絵画のようなシルエットを描く。また、見た目だけでなく機能性も備えているという。
 
 シンドラーが披露したアイテムとしては、例えば3Dの貝殻やヘビのモチーフをあしらったトランスパレントなロングドレスのほか、ウレタンのフリルで彩ったチュールのトップ、ジオメトリックなアクセサリー、そしてファーコートの縁にも新素材を用いてみせた。

Vanessa Schindler のルック - © Jérémie Leconte

 「一つの世界を作り出しました」とヴァネッサ・シンドラー。ジュネーヴ造形芸術大学(HEAD)で学位を取り、「エチュードスタジオ(Etudes Studio)」、アレキサンダー・ワン(Alexander Wang)時代の「バレンシアガ(Balenciaga)」、そして「ヘンリック・ヴィブスコフ(Henrik Vibskov)」などで2年間インターンとして経験を積んだ。その後再び同大学へ戻り、2016年には修士号を取得している。
 
 「スワロフスキー(Swarovski)」によるアクセサリー部門のグランプリを受賞したのも、同じくHEAD出身のスイス人、マリナ・シュデル(Marina Chedel)だ。「ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)」でインターンした後、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション(London College of Fashion)でシューズメイキングを専攻、学位を取得した。
 
 今回新設されたアクセサリー部門のグランプリ受賞者には、賞金1万5000ユーロ(約180万円)およびシャネル(Chanel)傘下の工房と1万5000ユーロ相当のプロジェクトを実現する権利が与えられる。
 
 ピエール・アルディ(Pierre Hardy)が審査員長を務める同部門では、マリナ・シュデルの木とレザーを使った彫刻のような靴が高い評価を得た。「歩くためというよりは、新しい感覚を模索した」作品だ。
 
 ブラジルのリオ生まれで、ブラジル人の母とスイス人で山岳ガイドの父を持つシュデルは、スイスの山あいで育った。そんな環境に着想を得たという彼女の作品は、山脈のようにアシンメトリックなラインを描く巨大なソールが印象的なプラットフォームサンダルだ。「上昇する、山の頂にいるような感覚を与え、斜面の傾きを感じられるような」デザインになっている。
 
 「まずはテクニックに惹かれました。それに、靴という小さなアイテムを通じて、一つテーマを表現できることも面白いと思います。こんな風に、靴一つで姿勢や歩き方を変えてしまえるんですから」とシュデル。

Marina Chedelの作品 - Photo by Charles Negre, 2017

  また、「クロエ(Chloé)」賞は「クロエ」の女性像を現代的に解釈してみせたドイツ出身のゲジーネ・フォルスターリング(Gesine Försterling)が受賞している。インドで刺繍を学んだ彼女は、素晴らしい織物の技術でとりわけ目を引いた。
 
 「スキャパレリ(Schiaparelli)」による特別賞で賞金1万ユーロを手にしたのは、フィンランドのマリア・コルケイラ(Korkeila)だ。アールト大学出身で、フィットしたニットやウォームカラーのプリントを取り入れた非常にアンドロジナスなコレクションを披露した。
 
 そしてパリの百貨店「ギャラリーラファイエット(Galeries Lafayette)」によるカプセルコレクション製作の協業相手にとしては、フランス人デザイナー、マリーヌ・セール(Marine Serre)が選ばれた。
 
 他にも、フランス出身のウェンディ・アンドルー(Wendy Andreu)が、一般投票およびイエール市によるアクセサリー部門で受賞している。
 
 写真のグランプリはアイルランドのダラー・ソーデン(Daragh Soden)が、そして親切の「アメリカンヴィンテージ(American Vintage)」写真賞はアメリカ人のルイス・アルベルト・ロドリゲス(Luis Alberto Rodriguez)が、一般投票・イエール市賞と同時に勝ち取った。静物賞はロース・カケルナート(Roos Quakernaat)。
 

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