「ルイ・ヴィトン」、ヴァージル・アブローと二コラ・ジェスキエールのタッグは成功し得るのか?

  3月にウィメンズでモダンなフレンチシックを見せた二コラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)と、先日のメンズでストリートクチュールを披露したヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)。「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」に新しいデュオが誕生したが、メンズとウィメンズ、今後はターゲットに違いがあるというだけではなく、全く別のカテゴリでそれぞれアプローチしていくようだ。

ヴァージル・アブローによる「ルイ・ヴィトン」メンズ - © PixelFormula

 ヴァージル・アブローによる初のランウェイショーでは、リアーナの姿がフロントロウにあった。彼女が纏っていたのは「ルイ・ヴィトン」の最新メンズコレクションにあるのと同じ、オールホワイトのトータルルックだ。手元には、やはりその後のショーで披露されたのと同じ新作の白いモノグラムバッグが。こうして見ると、アブローは二コラ・ジェスキエールと全く違った領域に乗り出そうとしているのではないかと考えられる。
 
 今年5月、メゾンはまず二コラ・ジェスキエールとの契約更新を発表した。退任を噂する声を封じる目的もあったと見える。「二コラ・ジェスキエールはこれまでやってきたことを継続していく。一方メンズウェアのデザインを手掛けるヴァージル・アブローは、メゾンの"進化"を担当するのだろう」とエクサンBNPパリバのルカ・ソルカ(Luca Solca)氏は当時から分析していた。「目まぐるしく変化する市場」に適応した決定だと評価する。
 
 「ヴァージル・アブローは、『ルイ・ヴィトン』の女性像とは相容れない。明らかに、ブランドは二つの全く異なった世界にアプローチしている。従来のシックなイメージはウィメンズラインで保ちつつ、ミレニアル世代にはメンズで対応していくのだろう。ヴァージル・アブローのフォロワーや、音楽関係のSNSなども活用できる」と話すのは、若手デザイナー支援・販売を手掛けるトゥモローロンドン・ホールディングス(Tomorrow London Holdings Ltd)のステファノ・マッルティネット(Stefano Martinetto)CEOだ。
 
 リアーナ、カニエ・ウエスト、キム・カーダシアン、エイサップ・ロッキー、ベラ・ハディッド、ナオミ・キャンベル、カイリー・ジェンナー、トラヴィス・スコットと、アブローのショーには旬のスターが駆けつける。「オフ-ホワイト(Off-White)」のフォロワーは4年間で400万人に達したが、これも「ルイ・ヴィトン」の新戦略を裏付けている。

ニコラ・ジェスキエールのシックなパリジェンヌスタイル - © PixelFormula

 ウィメンズのワードローブをメンズで補完する、というやり方ではない。「ルイ・ヴィトン」はLVMHグループの連結営業利益の半分近くを占めるが、市場の競争は激化し、よりグローバルに、よりカテゴリを絞ったアプローチが求められている。こうした文脈で、今年4月にはティファニー(Tiffany)のフランチェスカ・アムフィテアトロフ(Francesca Amfitheatrof)をウォッチ・ジュエリー部門のアーティスティックディレクターに起用した。
 
 香港の老舗セレクトショップ「レーンクロフォード(Lane Crawford)」と「ジョイス(Joyce)」を経営するアンドリュー・キース(Andrew Keith)社長は、「『ルイ・ヴィトン』の世界を拡大し、求心力を強めると共に新しい顧客層を獲得することが目的となっている。ヴァージル・アブローと二コラ・ジェスキエールは、それぞれが明確なヴィジョンを持っていて、お互い自分たちの分野で遺憾なく才能を発揮している。これは非常に強いメッセージだ」と分析する。
 
 「伝統と価値観、そこに新しい要素を取り入れ、柔軟にブランドの地平を広げることが可能となる」と強調した。
 
 マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)が「ルイ・ヴィトン」のウィメンズアーティスティックディレクターに就任したのは1997年のことだ。当時としては十分に大胆な人選だったが、グラフィティを施したモダンなデザインのバッグがブランドの新世紀を切り開くこととなった。そして今日、LVMH帝国を率いる馬は2頭だ。

 

不許複製・禁無断転載
© 2018 FashionNetwork.com

ファッション - ウェアファッション - アクセサリー・雑貨ラグジュアリー - ウェアラグジュアリー - アクセサリー・雑貨ラグジュアリー - その他ビジネス
新規登録