認知も競合も"ゼロ" 米国発メディア「ウィメンズヘルス」をハーストが日本展開する狙いは

 「ハーパーズ バザー(Harper's Bazaar)」「エル(Elle)」といった人気女性誌を発行するハースト婦人画報社が、デジタル事業で好調を維持している。不況の出版業界でいち早くデジタルに着手し、2015年にはデジタル事業が全社売上の約30%を占めるまでに成長した。そんな同社が新たに手がけるウェブメディアが「ウィメンズヘルス(Women's Health)」だ。米国の女性誌では4番目に売れている人気雑誌で、海外では世界54カ国で28エディションが発行されているほか、デジタルでは23カ国で1,250万ユニークユーザーを記録しているが、日本における一般的な認知度はゼロに等しい。同社は「ウィメンズヘルス」を日本でどのように展開していくのか。同メディアの編集長を務める影山桐子にその狙いを聞いた。

インタビューに応じた「ウィメンズヘルス」影山桐子編集長 - Fashionsnap

 影山編集長は1998年にアシェットフィリパッキジャパン(現ハースト婦人画報社)に入社し、「エル・オンライン(Elle Online)」でファッションエディターとして約12年間携わった経験を持つ。独立後はフリーのエディターとして活動する傍ら、ランニング好きが高じてメディア業界の女性ランナーによる一般社団法人「ランガール」を設立。理事を務め、女子のためのラン祭り「ランガール★ナイト(Rungirl★Night)」を毎年開催している。ハースト婦人画報社は「ウィメンズヘルス」編集長の選定に際し、ファッションとフィットネスに関する知見がある影山に打診。影山編集長はウィメンズヘルスについて「世界ではものすごく有名なのに日本でここまで知られていないのも面白い。逆にブランディングの余地がある」と捉え、着任を決めたという。
 
 「ウィメンズヘルス」はネーミングから"健康雑誌"という印象があるが、フィットネスをはじめとするライフスタイル情報がメイン。日本にはスポーツ専門誌は数多く存在するが、影山編集長は「健康志向の高い女性達は"筋肉をつけること"が目的ではなく、自分の状態をより良く整えていく"身だしなみとしてのスポーツ"を求めている。日本にはそれを発信するメディアがなかった」と分析し、競合が存在しないことからビジネスとしての可能性を強く感じているという。コンテンツはフィットネスに加えて、機能性だけではなくデザインにもフォーカスを当てたスタイリッシュなファッションの提案や、デオドラントやリップなどのフィットネスシーンにも適した美容関連アイテム、スーパーフードを使ったレシピといったヘルシーなライフスタイルにまつわる情報を多角的に紹介。一日の記事配信本数は10本を想定し、翻訳記事だけではなく日本オリジナル記事も制作する。また、デジタルという媒体を活かし動画を毎月作成するという。フィットネスに関してはスポーツ施設やエクササイズ方法に加えてフィットネス業界のスターにスポットライトを当て、国内だけではなく海外にも発信することで新たなムーブメントにしていきたい考えだ。スタート時は全体の約半分をオリジナル記事で構成し、最終的には7割程度まで増やす。ターゲット層はフィットネス未経験者から愛好家まで幅広く、30代前半をボリュームゾーンとして様々な世代を取り込む狙い。
 
 日本のフィットネスカルチャーについて「これまではなんとなく"運動=汗臭い"というイメージがあり、"運動を見せる"こともなかったが、最近はトレーニングシーンをSNSに投稿するモデルや女優が増えていて、若い女性の間でもスポーツシーンを発信することが流行ってきている」とSNSの普及によりスポーツやフィットネスに対するイメージが変化したと捉える。また、「芸能界を見ても、体型を維持して"輝いている"人はみんなスポーツをやっている。綺麗になりたいという意識は女性なら皆あると思うが、エステに行くのと同じように"綺麗になる手段の一つ"が運動だということを伝えていきたい」と話す。フィットネスに対するハードルを高く感じないように、自宅でできる簡単なエクササイズも紹介していくという。

 デジタルでの発信に加えて、「エル(Elle)」5月27日発売号の別冊付録としてウィメンズヘルスの冊子版を展開。また、女性向けメディアを強みとしている同社主催のイベントにも参加し、リアルでも接点を作りながら認知を高めていくという。現在の編集部の体制は3人と小規模。多忙な日々だが、ランニングは継続しているという。「もともとスポーツが苦手だったが、ランニングを始めてからスポーツが大好きになった。走り始めてから色々なことに興味が湧いて、どんどん世界が広がった。スポーツを始めていない人だけではなく、趣味として取り組んでいる人に対しても更に世界を広げるような提案をしていきたい」と意欲を示している。日本版は5月24日に公開される予定。
 

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