"黒の光"を求めて―クチュリエ御用達のプリーツ職人ピエトロ・セミネッリ 山本耀司の衣服も制作

 彼の手に掛かれば、どんな紙にも布にも見事な襞だ出来上がる。プリーツ職人、ピエトロ・セミネッリ(Pietro Seminelli)は、山本耀司の依頼で、紙の彫刻や衣服の制作も手掛ける。

Pietro Seminelli - AFP

 この工程は「折り紙にも似ている」と話すセミネッリ。「プリーツ職人というのは一つの仕事だ。私はプリーツ型を作ることもできる。だが、正確に言えば私はプリーツ職人ではないのかもしれない。というのも、私の工程では型を使用しないからだ」。プリーツ職人はフランス語で「Plisseur」と呼ばれるが、彼は「plieur(折る人)」という名称を好んだ。「私は手で直接、紙や布を折りたたむからだ。毎回唯一の作品が出来上がるし、跡は消えてしまう」。
 
 巨大なクラフト紙から、全長1メートルを超す甲冑型のオブジェが出来上がる。日本で行われる展覧会で展示予定の作品だ。「とても繊細なものと、甲冑の強固なイメージの対比を表現したかった。紙の限界をどこまで広げることができるか、それを知りたいと思ったんだ」と話す。
 
 東京国立博物館での展示に向けて、山本耀司にプリーツ加工を施した衣服も制作した。「服の"黒"が、酸化金を混ぜることでより光を集めるように工夫した」という。「色を消すことによって、シルエットの本質に立ち戻る」とも語ったピエトロ・セミネッリは、2005年にフランス文化省認定のMaître d'Art(美術工芸の 匠)の称号を授与されている。
 
 「色の職人ではなく、光の職人だ」と自らを評する同氏は、「カラヴァッジョの明暗」にも言及した。「工芸職人と芸術家の間にはほとんど違いがない。作品は一回的な唯一のものだ」と述べる。
 
 
「ディオール」と「シャネル」
 
 フランス国立高等工芸美術学校(ENSAAMA)を修了したセミネッリは、「尊敬していた祖父のよう」舞台美術の仕事を始めた。しかし、「自らを省みたい」という思いから、別の可能性を追求するようになる。「職人になること自体が一つの技術だ」というセミネッリ。建築家のピーター・マリノ(Peter Marino)と協業し、「ディオール(Dior)」や「シャネル(Chanel)」の内装も手掛けている。
 
 ノルマンディー地方にある彼のアトリエに、折よく生地が届いた。白と金の糸で織られた布は、アトリエの黒と好対照を成す。セミネッリは「シャネル」の内装だけでなく、次のコレクションの服地も制作しているという。「技というのは、受け継いでいく行為でもある」と同氏。「しかし、クリエイティビティを継承することはできない」とも付け足した。
 

by Emmanuel CHERKI
 

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