2017/10/28
「J.M. ウェストンアワード」、在仏日本大使公邸で授賞式開催 日仏の靴職人集う
2017/10/28
「ジェイエムウェストン(J.M.Weston)」が創設した「ジェイエムウェストンアワード(J.M. Weston Foundation Awards)」の授賞式が、パリにある在仏日本大使公邸で行われた。日本とフランスから若い靴職人を募り、交換留学を通じて製靴技術の交流を図る新しいプログラムだ。
「ジェイエムウェストン」にとって、日本は本国フランスに次ぐ第2の市場となっている。ブランドにインスピレーションを与えることも多く、財団が国外に目を向けるにあたって、まず日本を交換留学先に選択したという。
「日本が好きなんだ。今回の選択はまず個人的なものと言えるかもしれない。だが、卓越した技というのがどういうものか、若い職人がはっきりと学べる場所でもある。最上級の品質と言われて思い受かべる国があるとすれば、それは日本だ。長年『エルメス(Hermès)』でも協業してきたが、顧客の側も高い品質の商品をを日本の技術と結びつけて考えていることがわかった」と財団のクリスチャン・ブランケール(Christian Blanckaert)会長。
賞は木寺昌人駐仏大使の手から授与されたが、大使も言及していた通り「ものづくり」と職人技の伝統は両国に共通するものがある。西洋流の靴作りに関しては歴史が浅いはずの日本だが、実は東京には現在40名近いビスポークの職人が存在しており、職人の育つ素地は十分だ。対するフランスには長い伝統があるものの、職人の絶対数で言えば減少傾向にあることは否めない。こうした現状を鑑みても、若手の交流は良い刺激になり得る。
初開催となる今回は、両国から2名ずつ選ばれた若い靴職人が9月から10月にかけて2ヶ月間の研修を受けた。フランス側は、リモージュにある「ジェイエムウェストン(J.M. Weston)」の靴工房と、パリ近郊のパンタンにある職人訓練組織「コンパニョン・デュ・ドゥヴォワール(Compagnons du Devoir)」が、そして日本側では、靴職人の福田洋平氏手がける「Yohei Fukuda」と、東京墨田区発のシューズブランド「スコッチグレイン(Scotch Grain)」が受け入れ先となっている。
日本から選ばれたのは星野雅子さんと上村哲平さんで、どちらも浅草の「ギルド・オブ・クラフツ(Guild of crafts)」が運営する「サルワカ・フットウェア・カレッジ(Saruwaka Footwear College)」で製靴を学んだ。それまで手仕事が中心だった二人にとって、マニュファクチュアでの量産は初めての経験となる。「見えないところまで気を抜かないところに感銘を受けた」と上村さん。星野さんも、「上質の革を贅沢に使い、傷などが絶対に入らないようにしている」とフランスの靴作りを振り返った。
フランスからは「コンパニョン・デュ・ドゥヴォワール」の学生であるエマ=レア・マレシャル(Emma-Léa Maréchal)さんとクレマンス・ロシャール(Clémence Rochard)さんの2名が選ばれ、東京で研修を行った。「正確な仕事と、細部へのこだわり」を学んだという。
授賞式を日本大使公邸で開催するという案は、ブランケール会長から持ち込まれたものだ。「官民の連携は重要」と語る木寺大使。「日本とフランスの現在の関係は非常に良好。色々な取り組みを行っているが、こういった行事が大きな要素を持つと思う。実際に交流している若い職人たちはもちろん、それを支える周りの存在も素晴らしい」と評した。2018年には日仏友好160周年も控えているが、来年も引き続き「ジェイエムウェストンアワード」は日本とフランスの交換留学プログラムを予定しており、文化交流を推進していく。
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