2016/10/19
「ディオール」と「ヴァレンティノ」17年春夏コレクション、デジャヴ? 元デュオのクリエーション
2016/10/19
色々と話題を呼んだパリ ファッションウィークだが、中でも特に注目を集めた2つのメゾン、「ディオール(Dior)」と「ヴァレンティノ(Valentino)」の17年春夏コレクションを振り返ると、興味深い事実に気づく。
「ディオール」史上初の女性アーティスティックディレクターとしてデビューを飾ったマリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)と、今やソロで「ヴァレンティノ(Valentino)」をデザインするピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)のクリエーションに迫る。
キウリとピッチョーリは「フェンディ(Fendi)」で出会い、1999年に入社した「ヴァレンティノ(Valentino)」でもデュオでアクセサリーのアーティスティックディレクターに就任。そして2008年からは全てのラインを手掛けるようになった。
袂を分かつのは今シーズンが初めてのこととなる二人だが、ラフ・シモンズ(Raf Simons)退任後の新生「ディオール」にも、シルエットや色使い、素材など、「ヴァレンティノ」の要素が受け継がれているように思われる。
近年の「ヴァレンティノ」のヒットアイテムの一つでもあるロマンティックなロングドレスは、今シーズンの「ディオール」、「ヴァレンティノ」両メゾンでも健在だ。ブラック、ペールピンク、ホワイト、レッドといったカラーで、シルク、チュール、エンブロイダリー、シースルーなどの要素や、更にレザーのアイテムも共通して見られた。
「ヴァレンティノ」をロックにした「ディオール」と、少しストイックさを増した「ヴァレンティノ」。非常に似通ったルックも見られ、片やドット、片やバードモチーフをあしらった薄いチュールのロングドレスは特に目を引く。
チュールのアイテムでは、他にも黒いドレスが双方に登場。ラウンドネックから続くトランスパレントなデコルテからはどちらも黒いビスチェが覗き、刺繍がほどこされている。
また、スカート部分を段にして切り替えたシルエットや、ブラックレザーのビスチェなども同様だ。
トランスパレントアイテムやランジェリーテイストは今シーズンの一大トレンドではあるものの、やはり二つのメゾンの用いる手法には大きな類似点がある。
例えば、細いストラップをあしらったイブニングドレスでは、同じく深く切り込んだデコルテが同じ落ち感のシルエットを描き、そこにファンタジックなモチーフの刺繍をあしらった。
また、アクセサリーでも、黒いレザーのチェーンポシェットなどは非常に似通ったフォルムで登場。「ディオール」側は「J’ADIOR」の文字を入れて、ブランドのアイデンティティを主張している。
長年デュオとして二人三脚でやってきた二人のクリエーションに、どこか共通の要素が見られるのは自然なことかもしれない。例え道が分かれても、マリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリのクリエイティビティが深く共鳴していることが窺える。
■Valentino SS17 Womenswear 全コレクション ディテール
■Dior SS17 Womenswear 全コレクション ディテール
不許複製・禁無断転載
© 2024 FashionNetwork.com