​ミャンマー政府が最低賃金引き上げ：外資企業からは反発の声、労働者側にも不満残る

by

Matthieu Guinebault

掲載日
2015/07/10

　ミャンマー政府が6月19日、繊維工場における法定最低賃金を日給3600チャット（約360円）（1日8時間労働）に定めると発表したことを受け、中国資本の大手工場が工場閉鎖を示唆するなど、経営者側から反発の声が出ている。

　法定最低賃金は2013年春に成立した最低賃金法に基づいて定められたもので、国内のすべての地域で適用される。外資を含め、社員15人以上を抱える企業が対象となる。最低賃金の金額については1年前より主要労働組合、経済団体、政府の間で協議が行われていたが、労使間で希望額の隔たりが大きく、3200〜4000チャット（約320〜400円）の範囲に落ち着くまで調整が難航した。

　労働者側に不満が残る一方で、外資をはじめとする国内の工場経営者からも反発が強まり、見直しを求める声が高まっている。ミャンマーは産業発展において外資に頼るところが大きく、現在は外国資本の497企業が国内に進出している。

　ミャンマーの海外向け繊維生産量は飛躍的に伸びており、2015年第1四半期には、EU市場に衣料品を輸出する主要供給国としてトップ20に入った（18位、8200万ユーロ／約109億600万円）。前年同期比で74％増という驚異的な成長を遂げるなか、労使紛争の行方が注目される。

（2015年7月8日現在、1ミャンマーチャット＝0.10円、1ユーロ＝133円で換算）