2018年にロシアから本格上陸「Walk of Shame」のデザイナーに聞く"東欧ブーム"

 ロシア発のファッションブランド「ウォーク オブ シェイム(Walk of Shame)」が、2018年プレスプリングシーズンから本格上陸する。手掛けるのは、ファッションエディターやスタイリストとして経験を積んだロシア出身のアンドレイ・アルティモフ(Andrey Artymov)。英語のスラングに由来したユニークなブランド名から、ファッション界の"東欧ブーム"によってロシア風デザインが消費されていることまで、来日したデザイナーに聞いた。

「Walk of Shame」2018年春夏プレコレクション - 画像: Walk of Shame/Fashionsnap

 Walk of Shameは、「ロフィシャル ロシア」などの編集者として10年以上のキャリアを持つアンドレイ・アルティモフが、2011年にモスクワで立ち上げたブランド。スリップドレスやシルクパジャマ、キリル文字をプリントしたTシャツなどがシグネチャーアイテムで、ケイティ・ペリー(Katy Perry)やリアーナ(Rihanna)などセレブリティにもファンが多い
 
 ユニークなのはブランド名の由来だ。2008年にロシア・モスクワで開かれた夕食会で、アンドレイの親友で現代美術コレクターのシャーロット・フィリップスが、ギャラリーチームにアンドレイを紹介する際に、当時エディターだった彼を冗談半分で著名デザイナーとして紹介した。「何というブランドを手掛けているのですか?」と聞かれ、パーティー好きのアンドレイのために彼女がとっさに思いついたブランド名が「Walk of Shame」だった。その夕食会から3年が経った2011年、アンドレイは自身のブランドを立ち上げるにあたり、シャーロットがディナーテーブルで発したジョークを実際のブランド名に採用したという。
 
 直訳すると「恥の歩道」だが、英語圏では「他人の家から前夜と同じ服で帰路につくこと」を指すスラングだ。現在では本来の意味の枠を超え、あらゆる人にとっての"恥ずかしい瞬間"と解釈し、デザインにも落とし込んでいる。例えばシャツの胸ポケットは破けていて、襟が片方のみにつけられていたり。2018年春夏コレクションで発表したTシャツのフロントには、コンピューターでパスワードを打ち間違えた際に表示される画像認証の歪んだ文字をユーモラスにプリントしている。「彼氏のパソコンをこっそり覗こうとしてパスワードを打ち間違えてしまって、これが表示さるのもWalk of Shameの一つだよね」(アンドレイ)。
 
 「ヴェトモン(Vetements)」を手掛けるグルジア出身のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)をはじめ、「ヴィカ・ガジンスカヤ(Vika Gazinskaya)」、「ゴーシャ・ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)」など、近年はロシアを中心とした東欧出身デザイナーの活躍が目覚ましい。市場ではロシア語などで用いられているキリル文字など"ロシア風"のデザインも目立っている。ゴーシャやヴィカとはプライベートでも親交があるというアンドレイに、ファッション界でロシアが脚光を浴びていることについて聞くと、「いま突然注目を集めているけれど、僕たちはずっとこのスタイルでやってきた。具体的なきっかけはわからないけど、ファッションは常に新しいことを探すものだから、それがフィットしただけじゃないかな。キリル文字のトレンドも、いつか終わると思う」と至って冷静だ。「バレンシアガ」を手掛けるなどトップデザイナーの仲間入りをしているデムナについては、グルジア出身でアントワープでファッションを勉強し、パリにも一時拠点を置いていたことから「多様なバックグラウンドが世界的な認知を高めているのでは」と考える。
 
 Walk of Shameは今年、2018年春夏コレクションをニューヨークで初めて発表したほか、メンズラインをスタートさせた。今後は靴やバッグなどアクセサリーを充実させ、来年の2019年春夏コレクションではパリで初のショーの開催を目指すなど、新たな挑戦は続く。拠点を置くロシアに次いで人気があるのは、日本や韓国などアジアの国々。本格上陸後初のシーズンとなる2018年プレスプリングコレクションは、「アディッション アデライデ」をはじめ「リステア」や「アーバンリサーチ」「イエナ」「エディション」「ジャーナルスタンダード」「スタニングルアー」「シティショップ」といった大手セレクトショップを中心に取り扱われており、日本での認知はさらに広がりそうだ。

 

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