NYファッションウィーク、変化の波に揺れながら開幕 トランプ政権の影も

 ニューヨーク ファッションウィークが2月9日に開幕するが、今回は少し規模が縮小した感もある。パリやロサンゼルスへ移るブランドも多く、ファッショニスタ達はトランプ政権下で新たな意義を探し求めているようだ。

ラフ・シモンズ

 年に2回のニューヨークファッションウィークを訪れる人の数は、23万人以上に上る。何百ものショー、商談、パーティーが開かれ、金額にして9億ドル(約1000億円)近くが集まるという。
 
 精神状態が不安定との報道もあったラッパーのカニエ・ウェスト(Kanye West)は、自身のブランド「イージー・シーズン5(Yeezy Season 5)」で再び表舞台に復帰を果たす。炎天下の野外で行われた前回のショーでは、モデルが倒れたり大幅な遅刻で観客の不興を買ったりと成功とは言い難い結果であったが、今シーズンはそうした事態を避けたいと考えているはずだ。
 
 また、多くのイベントがチェルシーやソーホーで行われる中で、「アレキサンダー・ワン(Alexander Wang)」は、アフリカ系アメリカ人のカルチャーの中心地、ハーレム地区を選んだ。
 
 しかし一方で、今回の17年秋冬シーズンは欠席する有名ブランドも多く、ファッションウィークの意義と形式についての疑問が改めて浮かび上がる形となった。
 
 
別天地へ
 
 「トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)」は、最初にロサンゼルスへ発表の場を移すと決定したブランドだ。ジジ・ハディッド(Gigi Hadid)とのコラボレーションコレクション2シーズン目は、ヴェニスビーチで披露する。
 
 それに「レイチェル・コーミー(Rachel Comey)」と「レベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)」が続いた。対する「フッド・バイ・エアー(Hood by Air)」と「ロダルテ(Rodarte)」はパリへ向かう。「プロエンザ・スクーラー(Proenza Schouler)」も、17年春夏を最後にニューヨークを後にし、7月にはパリでコレクションを発表する予定だ。
 
 「ヴェラ・ウォン(Vera Wang)」は、ニューヨークでのランウェイに代えてショートムービーを撮影。パリ ファッションウィーク初日のショーと同時に、オンラインでリリースする予定だ。フランス政府によるレジオンドヌール勲章授与も同日に行われる。
 
 他にも、「DKNY」が欠席するほか、バレエ団とダンスパフォーマンスを企画している「オープニングセレモニー(Opening Ceremony)」や、「プーマ(Puma)」とリアーナ(Rihanna)のコラボレーション「フェンティ(Fenty)」も不在だ。
 
 
フレッシュな顔も
 
 今シーズン特に期待を集めているのが、「カルバン・クライン(Calvin Klein)」のチーフクリエイティブオフィサーに就任したラフ・シモンズ(Raf Simons)が手掛ける初のコレクションだ。メンズとウィメンズを同時に披露する。
 
 また、フェルナンド・ガルシア(Fernando Garcia)とローラ・キム(Laura Kim)による「オスカー・デ・ラ・レンタ(Oscar de la Renta)」も注目されている。
 
 
ヨーロッパ勢の参入
 
 イタリアの高級ランジェリーブランド「ラぺルラ(La Perla)」は、初のアパレルコレクションをニューヨークで発表する。
 
 ミラノから発表の場を移す「フィリップ・プレイン(Philipp Plein)」や、20周年を迎えるフレンチブランド「ザディグ エ ヴォルテール(Zadig & Voltaire)」も、ニューヨークに参入するヨーロッパ勢だ。
 
 
トランプとファッションと政治
 
 何かと問題に事欠かないトランプ政権に対し、ニューヨークの街は抗戦する姿勢を見せていることも忘れてはならない。実際、トランプ大統領就任後の反対デモへ参加したデザイナーも存在する。
 
 アメリカファッション協議会(CDFA)は、中絶手術や避妊薬処方、性病治療など、女性に向けた医療サービスを行うNGO、「プランド・ペアレントフッド(Planned Parenthood)」と提携、ピンクのボタンを配り、同団体を支援することを発表した。共和党は「プランド・ペアレントフッド」の活動に反対の姿勢を示している。
 
 この運動には、「ダイアン・フォン・ファステンバーグ(Diane von Furstenberg)」をはじめ、40以上のブランドが協賛している。「プランド・ペアレントフッド」は、2014年度には政府から5万5000万ドルの補助金を受け取っており、収入の半分を賄っていた。
 
 さらに、「オスカー・デ・ラ・レンタ」の切手発売を記念した郵便公社の式典では、トランプ大統領のライバルであり、ファッション業界からの支持も厚いヒラリー・クリントン氏が演説をすることが予定されており、有名人がこぞって集まるイベントとなりそうだ。
 
 
変化の波
 
 「トミー・ヒルフィガー」を始めとした幾つかのブランドは、ショーから6ヵ月の待ち時間を設けず、現行シーズンのアイテムを発表する"see now, buy now"のシステムを昨年から導入し、消費者に革命をもたらしたに見えた。しかし、それも勢いを失ってしまった。少なくとも、現在のところはそう思われる。
 
 「ラルフ・ローレン(Ralph Lauren)」も、先週ステファン・ラーソン(Stefan Larsson)CEOの退任を発表したばかりだ。目まぐるしく変化する小売市場の中で、アパレルラインをどこに位置づけるか、という点で意見に相違が生じたことが原因だという。
 
 「今のファッションで一番残念なのは、並行して別々のものが沢山起こっていることよ」とデザイナーのカリー・クシュニー(Carly Cushnie)。「同じ日程で、揃って協力していた頃の方が良かったわ」。
 
 ファッションウィークが現行の形式を維持できるのか、と問う声も少なくない。ライブ中継を配信し、従来の日程に縛られる必要は無いのだと消費者に直接呼びかける向きもある。
 
 「新しいデジタルの時代に、競争が激化し過ぎた小売の現状。その中でどう動くべきか、という葛藤がファッション業界にもあって、全てはそこから来ていると思う」と元ウォールストリートジャーナルのファッションコラムニスト、クリスティーナ・ブリンクリー(Christina Binkley)は指摘する。
 

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