2015/09/10
イタリアのテキスタイル業界、苦戦続く
2015/09/10
7ヶ月間連続で上向きだったイタリアのテキスタイル産業だが、今再び逆境に直面している。通期で好調だった2014年を経て、2015年上半期、イタリアのテキスタイル生産は前年同期比4.1%の減少を見せたという。イタリアファッション業界を束ねる機関、SMIの調査による。
SMIのトップであるクラウディオ・マレンツィ(Claudio Marenzi)は、「100年に一度あるかないかの、世界的な苦境だ」という見方を改めて示した。
イタリアのテキスタイル産業全体の売上高のうち55%を占める輸出事業は、その分野を知る指標にもなるが、2015年上半期には2.3%減少している。また、イタリアへのテキスタイル輸入額も4%減となった。しかし、貿易収支自体は黒字で、8億2200万ユーロ(約1114億7000万円)となっている。素材別に見ると、ウール生地の輸出の伸びが最も高く、次いでリネンが成長を見せているが、一方で他の繊維に関しては、海外向けの売上が落ち込んでいる。
輸出先としては、2015年上半期もドイツが最得意先となっており、全体の10.6%を占めたが、金額自体は8.3%減の1億6500万ユーロ(約223億7600万円)にとどまった。また、続くルーマニア(4.3%減)、フランス(1.3.%減)も軒並み減少している。
欧州以外では、チュニジア向けの輸出が27.9%増加。同時に、中国が12.7%増、香港が9.8%増で、この二つの地域を合わせると、イタリアのテキスタイル輸出先としては第2位の規模になる。また、米国に対する輸出も15.2%増と大きく伸び、フランスに次いで4位となった。
「ウクライナ情勢が緊迫したことで原油価格が下がったのに始まり、中東での戦闘に最近の金融不安と、不況の種が重なり合っている。こうした流れのなかで、我々企業はまず、グローバルなビジョンをしっかりと持ち、地域的なリスクを拡散する必要がある。それに加えて、通貨や商品といった面でのリスクも調整し、より幅広い提案をしていくことが求められている」と事業家のシルヴィオ・アルビーニ(Silvio Albini)氏は語る。前回まで展示会「ミラノ・ウニカ」の会長を務めていた人物だ。
(2015年9月10日現在、1ユーロ=135円で換算)
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