ファッション界のアイコン的存在の日本人デザイナー山本耀司氏が、ついにベールの奥の素顔を披露する。同氏の人生と創造プロセスをテーマに、東京とニューヨークで独占的に撮影された私的な短編ドキュメンタリー映画が制作された。

YOHJI YAMAMOTO : THIS IS MY DREAM

このドキュメンタリーは、アディダスとのコラボレーションによる「Y-3」コレクション創造の全過程を通じて山本氏を追跡することで、その芸術的発想の源、音楽に対する愛、そして同氏の美意識を明らかにしている。

撮影は2009年夏から初秋という短期間に行われ、山本耀司と国際的な顔ぶれのチームがコレクションの製作、キャスティング、スタイリング、ショーの開催、広報・宣伝に取り組む模様が記録された。映画はコレクションの最終決定と東京でのショーのスタイリングから始まり、ニューヨーク入りしてY-3 Spring/Summer 2010 Collectionの最終仕上げを指揮する山本の姿が描かれている。フィッティングやモデルのキャスティングを行い、ギターを弾き、哲学者のように黙想したり、アイデアに命を吹き込むためにスタッフやグローバルチームと意見を交換したりする山本の素顔を、親密な視点から捕えたドキュメンタリーとなっている。

上映時間は30分。現在のところ東京都内にて10月前後にて一夜限りの限定公開を予定しており、同時期にスペシャルパッケージでのＤＶＤの発売も予定されている。

天才と称賛され、フランス政府から米国ファッション協議会(CFDA)に至る様々な団体から表彰され、過激なまでのイノベーションとクラフトマンシップによって世界的に名声を博している山本氏。1977年に初のコレクションを東京で発表して以来、卓越した彫刻的フォルム、ユニセックスとアシンメトリーへのこだわり、知的でありながらウィットに富んだアプローチで知られており、数十年間にわたってファッションにおけるアヴァンギャルドを定義してきた。30年以上世界的に活躍してきたにも関わらず、私生活と公的な仕事の場を細心に区別しているため、今なおベールに包まれたミステリアスな存在であり続けている。

「Y-3」はイノベーションを追求する山本を完璧に象徴するブランドだ。同氏が監修する独創的な８つのラインのひとつで、2002年の立ち上げ以来ファッション界に新たなカテゴリーを創り出してきた。山本のクラフトマンシップとアディダスのテクノロジーの融合を目指して誕生したY-3は、スポーツファッションウェアーの未来形としての地位を確立し、映画はこのY-3を背景として展開している。

監督のセオドア・スタンリー氏は、自身の制作グループであるハーバー・フィルム・カンパニーとともに、山本氏への密着取材を許可された。撮影監督を務めた主な作品にはブルース・ウェーバー監督のドキュメンタリー映画『トゥルーへの手紙』、『Chop Suey』、『Boy Artist』があり、この『THIS IS MY DREAM』はドキュメンタリー映画監督としてのデビュー作となる。その他の業績としてはキアラ・クレメンテ監督の映画『Our City Dreams』の撮影監督を務めた他、ヴェラ・ウォン、ラルフ・ローレン、シャネルなどの仕事も手掛けている。編集担当のザック・タッカー氏の協力を得て、スタンリー監督は山本の芸術的なプロセスを明らかにする見事な映画を創り上げた。