2014年秋冬シーズンのミラノコレクションで話題をさらった、デザイナーJeremy Scott（ジェレミー・スコット）による新生「Moschino（モスキーノ）」。ロンドンで開催されている「London Collections: Men」2日目の6月16日に初のメンズコレクションが披露されるとあって、会場となったヴィクトリアの閑静な住宅街にあるホールの外にはファッショニスタらの長い行列ができた。フロントローにはリンジー・ローハンやデイジー・ローなどセレブリティの姿もあり、デビューシーズンにして注目度の高さがうかがえるショーとなった。

　2015年春夏メンズコレクションのキーワードは、「ロゴマニア」「スマイリーフェイス」「ポッププリント」「ラグビーストライプ」。ショー前半は、チアフルなソーダやコーラなど炭酸飲料のパッケージプリントが、スーツやパーカー、水着までも覆った。ランウェイを彩る世界の国々の国旗は、パネルプリントだけでなくスマイリーフェイスにも落とし込まれ、JoyやLove、Togethernessを表現したという。終盤には、著名メゾンのマークを想像させる2つのスマイリーを掛け合わせたロゴが登場。デニムの大きなMとピースマーク、ブランドのシンボルであるハートを掛け合わせたモノグラム、そしてオレンジのテクニカル素材に施された茶色のリボンの装飾もビッグメゾンのアイコンを思い起こさせ、活動的なコレクションにジェレミー流のギミックが仕掛けられた。

　ロンドンでは近年、「Astrid Andersen（アストリッド アンデルセン）」、「Nasir Mazhar（ナジール マザール）」、「KTZ」といった、グラフィカルでリュクスなスポーツウェアや新しいストリートウェアの形を模索するデザイナーが席巻している。生まれ変わった「Moschino」のメンズコレクションにおいてジェレミー・スコットは、まさにその中心を貫くような"ラグジュアリースポーツ"を発信した。（取材・文：益井祐）