中国人観光客が支える日本経済

化粧品店マネージャーの宮辺正行氏は毎日バスいっぱいの中国人旅行客が次々と彼の銀座のショップに入っていくのを目にしながら安堵感と期待の入り混じった表情を浮かべている。

2010年9月22日、中国人旅行客が銀座でショッピングを楽しむ様子Photo : Corbis

「中国人客は日本人客のおよそ三倍は買って行きます。今、中国人客はこの地区のお店にとってとても重要な存在感を示しています。」

しかし、弱った日本経済を後押しするようにと中国人観光客を積極的に引き寄せていたのもたった3ヶ月で終わってしまい、日本は今中国人観光客の「ドタキャン」に悩まされている。

中国の健康食品と化粧品の製造会社プロヘルスは日本への視察に1万人規模の旅行を予定していたが、尖閣沖衝突事件の船長逮捕を受け予定を全てキャンセルした。

新華通信社は事件の発生から日本への旅行客の数は減少したと伝えている。

中国観光省代表、張健忠氏は「日本への旅行をキャンセルし、行き先を変えた中国人観光客はたくさんいる。」としている。

北京当局はもし日本政府が船長を釈放しないならばより厳しい反応も辞さないとした。船長は日本のパトロール船に自身の船を二回ぶつけたとして東シナ海ガス田問題を再熱させている。

日本の中国人旅行客専門代理店の代表は、プロヘルスに続いて同じように旅行のキャンセルを申し出た人は誰もいないとしている。

しかし経済が弱りきった今の日本にとって多くの富をもたらしてくれる中国を敵にすることは得ではない。
「日本に来る外国人観光客の中で中国人観光客はとても大切です。しかし、ガス田問題は日本を訪れる観光客の数に影響を及ぼすことは間違いないでしょう。」千葉ぎん総合研究所の観光研究者額賀誠氏は伝える。

日本国土交通省によると2013年には中国からの観光客は現在一番多い韓国からの観光客の数を抜いて390万人に上るだろうと伝えている。昨年の中国からの観光客は101万人だった。

中国人観光客の購買力によって日本の小売店や他のサービス業者内で中国官話（マンダリン）を必要とされる場合が増えるだろう。また、中国のデビットカードも使用できるシステムを確立する必要がある。

「買い物は中国人観光客にとって慣行よりも大切です。」日本の中国人旅行客専門代理店の代表は言う。
日本国土交通省によると中国人観光客は日本で4番目に多く出費をしている外国人観光客であり、一回の訪日で平均13万7千円消費している。その多くはブランド物のバックやデジタルカメラ、化粧品。

ロシア人が同じリスト上では1位であり、17万4千円。2位はフランス人で15万2千円。3位はドイツ人で14万6千円となった。

旅行費や滞在費なども含めると中国人観光客は1回の訪日に23万5千円かけている。
これを受けて日本政府は中国人への観光ビザを配布する際に設けている年間収入を以前の4分の1と大幅に下げて6万ウォン（約75万円）としている。

日本政府は自身の経済を救うために中国人観光客を手厚くもてなしているだけではない。日本の最大輸出国も以前のアメリカ合衆国から中国へとシフトした。

中国経済が急ピッチで成長する中で、貧しい共産国家から世界一の大国家に変貌を遂げる中国は日本経済を刺激するにはなくてはならないものになってきている。

しかし、中国のウェブサイト上では反日感情が盛り上がっているのも事実。
「もし中国人全員が日本製品に対してボイコットを行えば、小さな日本は崩壊するだろう。」Sina.com上の書き込み。
「日本には何も輸出するべきではない。箸でさえも。」Sohu.com上の書き込み。

両国家の関係は2001年から2006年の間に小泉純一郎当時首相が戦犯を含む250人の戦争被害者を祀る靖国神社を訪問したときにも危うくなった。

「過去の経験から言って、この問題も長い時間をかけて解決されるだろう。」千葉ぎん総合研究所の額賀氏は言う。
しかし、今回の問題において厳格な態度を崩そうとしない日本政府のお陰で日本の小売店主は心配しながら毎日を送っている。「状況は悪くなっているように思います。」そういいながらもまた次の中国人団体客が彼の店に入っていった。