2012/12/19
バーチャル見本市「e-Pitti」が好評、他の見本市とのパートナーシップ拡大へ
2012/12/19
2011年6月に本格始動したバーチャル見本市「e-Pitti」が好評だ。「e-Pitti」は、フィレンツェで開催されるメンズファッション見本市「ピッティ イマジネ ウオモ(以下ピッティ ウオモ)」などを主催するPitti Immagine(ピッティ・イマージネ)社が開催するオンライン見本市。「ピッティ ウオモ」、「Pitti W(ピッティ ウーマン)」、「Pitti Bimbo(ピッティ ビンボ)」に続き、2012年7月より糸の見本市「Pitti Filati(ピッティ フィラティ)」も加わった。
立ち上げ以来、ページビューは合計170万件に達したという。今年6月に開催された見本市からは1377件のバーチャルブースが参加。写真6万件、動画1500件が掲載され、展示商品数は8500点以上に上った。前回のオンライン展示(7月初め〜9月末に開催)では、アクセス数は11万6000件、ページビューは合計50万件となり、約90カ国のバイヤーが「e-Pitti」を訪れた。バイヤー1人あたりの平均閲覧時間は10分間で、平均28ページ、13商品を閲覧した計算となる。
「e-Pitti」を運営するFieraDigitaleのFrancesco Bottigliero(フランチェスコ・ボッティグリエーロ)社長は、「(バーチャル見本市という)コンセプトに満足している。実際の見本市の価値を高める優れたツールだ。今後、e-Pittiが何を提供できるか、さらに検討していく必要がある」とコメント。「e-Pitti」は毎シーズン、フィレンツェ会場での見本市終了から1週間後に開始され、約6週間にわたってオンライン展示される。「e-Pitti」での展示権は展示スペース料金に含まれており、展示中に15商品の写真撮影を行い、オンライン展示を行う。
同サイトはイタリア語、英語のほか、7月からは日本語版も登場した。日本からの訪問者数はイタリアに次ぐ第2位となっている。また、ロシア人の訪問者数も増えているという。ボッティグリエーロ社長は、「2013年6月にロシア語版を立ち上げ、その後ドイツ語版も作成する予定」と説明している。
FieraDigitaleはまた、バイヤーの閲覧情報を分析し、トレンドに関するデータも提供している。ピッティ・イマージネ社のRaffaello Napoleone(ラファエロ・ナポレオーネ)CEOは、「e-Pittiを通して確かなデータを得ることで、トレンドに沿ったイベント方針を決定することができる。現状ではこうしたデータを活用している企業は少ない」と話す。2013年6月には、オンラインツールをさらに活用するためのセミナーを開催する予定だという。
今年7月にスタートしたバーチャル版「ピッティ フィラティ」では、展示者数は80組となり、66ブースで550点の商品が展示された。35カ国のバイヤーが訪問し、トップ3はイタリア(38.61%)、コロンビア(15.31%)、米国(11.72%)だった。
ピッティ・イマージネ社は、Fiera Milano(フィエラ ミラノ)と共に新設する見本市「Super(スーパー)」についても「デジタル化」を検討している。「Super」は、2013年2月にミラノで初開催されるレディースファッションとアクセサリーの見本市。第2回目の開催は2013年9月に予定されており、バーチャル版の具体化はそれ以降となる見通しだ。
また2013年1月には、ミラノで開催されるインテリア雑貨の見本市「Macef(マチェフ)」と協業し、バーチャル見本市「Macef+」をスタートする。見本市を主催するフィエラ ミラノは、FieraDigitaleと2年間のコンセプト使用契約を締結。FieraDigitaleがプラットフォームやロジスティック(渉外、写真撮影など)といったサービスを提供して支援する。「Macef」側が今年2月にピッティ・イマージネ社に打診し、7月に契約。9月には107企業を対象に試験プロジェクトが実施された。第1回目の開催となる1月の「Macef+」では、展示者数1800組、600ブースの出展を予定している。
こうしたパートナーシップにより、今後バーチャル見本市の可能性はますます広がりそうだ。イタリアをはじめ、国際的なファッション見本市も、バーチャル見本市の開設に向けてFieraDigitaleとの提携を検討しているという。
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