2020/01/22
パリ クチュール:「メゾン マルジェラ」、ガリアーノが再びマレ地区へ
2020/01/22
ジョン・ガリアーノ(John Galliano)が、久々にマレへと帰ってきた。かつて20年ほどこの地区に住んでいたガリアーノだが、今回は「メゾン マルジェラ アーティザナル(Maison Margiela Artisanal)」のクチュールショーを行った。
貴族の邸宅だった建物を改装したHôtel Coulangesに設けられた会場は、一面ピンクに覆われていた。壁も床も観客用の椅子も、すべてスプレーでピンクに塗られている。
芸術的に解体・再構築されたピースは、美術館で見るようなアート作品でもあると同時に、面白いファッションのアイディアにあふれている。
フレアしたロングコートはボタンが取れていたり縫い目が間違っていたりとサプライスにあふれた仕上がりに。イブニング向けのピースとしては、トランスパレントな素材や、ベルベット、レザーのカラムドレスにカットアウトを施してみせた。下には同系色のアンダーウェアを合わせ、ウィットに富んだルックに昇華している。
頭にはフィッシュネットのヘッドアクセサリーを被り、モデルのジェンダーも定かではない。ブルーノリップに植木鉢を逆さにしたようなハットなど、舞踏会向きと言えなくもないが、どちらかといえばベルリンのテクノクラブが似合うような装いだ。
サウンドトラックもまた、マルコム・マクラーレンからセルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンの「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」、「サウンド・オブ・ミュージック」に至るまで、バリエーションに富んだミックスを見せる。
フィナーレは特に素晴らしく、コンサバなバンカースーツに身を包んだメンズモデルが登場したが、その肩は大きくカットされ、フェイクのステッチが表に出ている。
ガリアーノのシグネチャーでもある"解体"ファッションへの回帰でもあり、「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」を解雇されるきっかけになった事件の苦い記憶の残るマレ地区へのカムバックでもある。
盛大な拍手が沸き起こっても、いつも通りそれに応えるデザイナーの姿は無い。バックステージでガリアーノの所在について尋ねたエディターに対するPRの返答は、「彼なら昨日発ちましたよ」というだった。
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