2020/03/02
パリFW:「バレンシアガ」のアポカリプス
2020/03/02
「バレンシアガ(Balenciaga)」のデムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)は、フューチャリスティックなビジョンを歴史的な要素と上手く混ぜ合わせ、アポカリプティックなムードのショーを見せた。
暗いキャットウォークには一面水が張られており、天井から吊るしたスクリーンの映像を反射している。不穏な空の下、モデルは水を跳ね上げて歩いた。ベニスの洪水を思い起こさせる演出で、続くルックには長靴のようなサイハイブーツも登場した。
嵐、稲光、激しい波、大都会の風景、燃え盛る空など、天井に映し出されるイメージはどれも気候変動の危機を想起させる。
大規模なコレクションだたtが、前半はすべてブラックで構成されたストイックなルックになっていた。レザー、ウール、シルク、ナイロンと素材は様々だが、どれもハイネックやフードなどで体全体を覆い、中世の修道士めいてもいる。中には、クリストバル・バレンシアガ(Cristobal Balenciaga)の祖国スペインのイコノグラフィーを思わせるものも。
重いコート、長く伸びるチュニックにベロアのキャソック、袖口の広がったプリーツドレスや、スカート、スーツ、パーカー、ジャケットにいたるまで、すべて非常に長いレングスで裾が水に浸かっていた。キャスティングも、ジェンダー、年齢ともに幅広いもので、目を真っ赤にさせた出で立ちも特にパワーショルダーをさらに鋭角に上向かせたパゴダ風のショルダーラインがドラマティックなムードを高めている。
片側の襟が伸びてフードから繋がるケープ状になったコートや、背後の襟ぐりを高く引っ張ってそのままフードにしたパターンが目を引いたほか、トゲで覆われたブルゾン、ラテックスのペザントドレスなども印象的だった。
一連のオールブラックルックには、差し色として時折ビビッドなレッドが登場。また、ブラックのドレスの前面にミモザプリントのドレスをドッキングしたアイテムもコレクションに色を添えていた。
そこから少しずつスポーティでストリートな要素が加わり始めると、キャップやサッカーユニフォーム、バイカースーツを纏ったメンズモデルも姿を現した。
ユニフォームには「balenciaga」とのチーム名が印字されており、このTシャツはヒットすること間違いなしだろう。ランチボックス型のバッグなどアクセサリーも見逃せない。
イブニングには、ストレッチ素材を使いドレープとしつつもぴったりフィットしたシルエットを考案したヴァザリア。得意の靴が一体化したレギンスやグローブを含め、大胆なカラーでのトータルルックを披露した。
また、体のラインに沿うようなユニークなテーラードアイテムも今シーズンの新顔だ。メンズのボディスーツも登場した。
不許複製・禁無断転載
© 2024 FashionNetwork.com