Bruno Joly
2012/10/31
中国Metersbonweのリュック・ブオノ氏インタビュー:「中国文化にインスピレーションを得たスタイルを提案するブランドが増えてきた」
Bruno Joly
2012/10/31
Luc Buono(リュック・ブオノ)氏はEsmod Paris(エスモード・パリ)の講師を経て、中国で4000店以上を展開するカジュアル衣料大手「Metersbonwe(メタスバンウェイ)」のデザインスタジオを統括するため中国に渡った。そして1年半前より、同グループが展開する新しいシューズブランド「Ch’in」を担当。同ブランドは今回初めて、北京で開催中のローカルデザイナーブランド合同展示会「Chic Young Blood」に出展している。FashionMag.comがブオノ氏に、中国ファッション業界の印象や傾向について話を聞いた。
FashionMag.com(以下、FM): 「Metersbonwe」での経験は8年になりますが、中国ファッションや中国人クリエイターに変化はありましたか?
Luc Buono氏(以下、LB): 中国では近年、単なる下請け業者としてのイメージを覆そうとする、個性あるブランドが数多く誕生してきました。クリエイティビティを主張し、ブランドの認知度を高めようとする意欲が感じられます。この展示会(訳者注:「Chic Young Blood」)は、それを良く示していると思います。社会水準に応じて、少しずつこうした傾向が強まっています。
FM: 中国では、欧米風のブランド名やスタイルを取り入れているブランドが多いようですが?
LB: 文化の変容というのは難しいものです。中国人デザイナーはかつて、中国風のデザインを取り入れるのを好まず、他の欧米ブランドと同じようなスタイルを追求していました。一方、例えば私たちのブランド「Ch’in」では、店頭で最も売行きが良いのは、中国古来の5つのエレメント(木、火、土、金、水)をモチーフにしたシューズコレクションです。しかし当時は、ファッションは外国、特に欧米諸国から入ってくるものと考えられていたのです。現在でも西側諸国の影響は大きいですが、中国文化にインスピレーションを得たスタイルを提案するブランドが増えてきています。「Hermes(エルメス)」が展開する中国市場向けブランドを見てもわかるように、中国人が好むコンテンポラリーな商品に、中国伝統の専門知識や技術を反映させようとする動きが見られます。
FM: 上海で開催された国際見本市「Intertextile(インターテキスタイル)」では、世界経済の低迷を受け、多くの下請け業者が国内市場に目を向けていたように感じます。これについてどう思いますか?
LB: 私が勤務しているのは大きなグループですが(FM注:「Metersbronwe」「Tagline」「Me and City」「Ch’in」といった自社ブランドを展開)、自社製造は行っていません。経済危機は私たちにとってチャンスとなりました。以前は輸出専門だった製造業者が当社の製造を引き受けるようになり、これによって一部コレクションの品質が向上しました。
FM: 展示会「Chic Young Blood」の印象は?
LB: 良い方向に向かっていると思います。「Bread & Butter(ブレッド&バター)」に似たスピリットを感じます。こうした展示会は中国ブランドにとって、国際的な認知度を高めるだけでなく、国内の消費者に対するアピールにもなります。今後の発展に期待したいですね。
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