2012/08/29
低価格製品の外注生産、自社ブランド立ち上げへと向かう中国アパレル製造業界
2012/08/29
香港貿易発展局(HKTDC)が実施した調査で、中国のアパレル製造業者の約89%が自社ブランド開発を目指していることが明らかになった。2005年から2010年にかけて、中国における衣料生産量は21.4%増加したのに対し輸出量は12.9%増にとどまっており、国内市場の需要が拡大していることがよく分かる。
多くの中国企業は研究開発に関する投資を拡大し、低価格製品の製造から自社ブランド製造・販売へと転換を図りつつあるという。香港貿易発展局(HKTDC)が中国のアパレル製造企業2000社を対象に行った調査によると、90%が中級ブランドおよび総合小売業向けの製品を製造しており、高級ブランド製品の製造は10%以下だった。
自社ブランド製品を直営店やインショップで販売している企業は85%に上る。小売業者への卸売のみを行っている企業は37%だった。また、64%がフランチャイズ事業、56%がオンライン販売を展開。調査対象の2000企業のうち、売上高が1000万ドル(約7億9000万円)を超える企業は37%だった。
香港貿易発展局(HKTDC)は、「自社ブランドの開発に向け、研究開発やスタイル研究、マーケティングなどへの投資を拡大するアパレル製造業者が増えている」と説明する。「生産を他の製造業者に外注するメーカーも増えてきている。今回の調査では、38%の企業が既に外注生産を行っており、9%が検討中だと回答した」という。
外注増加の背景として、労働賃金の上昇をはじめとする中国での生産コスト増加が挙げられる。中国国際貿易促進委員会紡績行業分会のLin Yun Feng副会長は今年2月、FashionMag.comに対して、「中国のアパレル製造業者は一部生産を東南アジア諸国に外注するようになってきている」「中国は低価格製品の生産から撤退しつつある」と話していた。
独自のブランド開発を目指し、「世界の工場」から脱しつつある中国のアパレル製造業界。こうした移行は、今後いっそう加速していくことだろう。
(1ドル=79円で換算)
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