2019/03/24
東京ファッションウィーク Day6、「ビューティフルピープル」凱旋と新鋭ブランドで幕
2019/03/24
最終日を迎えた東京ファッションウィーク。5年ぶりに東京でショーを行った「ビューティフルピープル(Beautiful People)」はパリとはまた違う表情の「Side C」を披露し、「Tokyo Fashion Award」2019年の勝者たちは初めてのランウェイに挑んで幕を閉じた。
「ビューティフルピープル」、より控えめな内面の発露
パリでも進化した「Side C」のテクニックで繊細な内面世界と衣服の意外な可能性を披露してくれた熊切秀典。今回の東京では違った着方と新たなアイテムを混ぜ込むことで、よりウェアラブルでリアルなファッションに昇華した。メンズのモデルも数名起用している。
ストライプのハイネックニット、プリーツスカートにミニポシェットを合わせたルックや、バイアスのチェックスカートとシアーなトップス、空気を孕んで広がるロングチュニック、そしてブランドのアイコニックなアイテムであるライダースジャケットなど、パリに比べてドラマティックではないがより「着られる」提案も目立った。東京で見せた熊切の「内面」は、より繊細で日本的だ。
会場には霞ヶ関の経済産業省本館講堂が無償で提供された。今回のショーは経済産業省若手支援コンソーシアムの創立1周年記念という側面もあり、イベント後の会見には経済産業副大臣も出席。若手デザイナーの海外進出に寄与していく意向を改めて表明した。「サカイ(Sacai)」に続く日本発のインターナショナルブランドを、という国内ファッション産業からの強い要求が感じられる。
ホームグラウンドである日本ではすでに有名ブランドとして確固たる地位を築いており、一般消費者の中での知名度も高い「ビューティフルピープル」。しかしパリではまだまだ若手の扱いだ。一貫したビジョンや世界観を提示する高い自己プロデュース力が問われるなか、先シーズンからの「Side C」でブランドとしてのアイデンティティを堅固にし、一皮剥けた印象の熊切だが、パリと日本の間で揺れ動く「内面」が垣間見えたようにも思われる。
「Tokyo Fashion Award Winners’ day」
こちらも「世界をフィールドに活躍する」ブランド育成にむけ「海外での展開をサポートする」プログラム、「Tokyo Fashion Award」から、「チノ(Cinoh)」、「ジエダ(Jieda)」、「アーネイ(Anei)」、「ノブユキマツイ(Nobuyuki Matsui)」、「ポステレガント(Postelegant)」、「レインメーカー(Rainmaker)」の2019年受賞ブランド6組が初めてのランウェイショーを披露した。この1月には、パリ メンズファッションウィーク中に合同ショールームでの展示も行っている。
リラックスしたシルエットのユニセックスなワードローブを、素材やカッティング、色使いでどこかクリーンに昇華したブランドが目立った。「アーネイ」はニュートラルカラーと上質な素材感で、フーディーやパーカといったカジュアルなアイテムにミニマルな要素を混ぜ込んだ。「ポステレガント」も、ゆったりしたシルエットに長い着丈、レイヤードを主体に、素材の存在感やクリーンなカット、アーティなディテールで現代的に仕上げている。レイブ文化を取り入れた「ジエダ」やクラス間のあるグランジを提案した「チノ」は、東京ストリートファッションの新世代と呼べるだろう。そして中でもやや異色なクリエーションで目を引いたのが、京都発の「レインメーカー」だ。 和服のコードを洋服に落とし込むというのは別段新しい発想ではないが、エキゾチックに終わらない「和」の要素がクラシックなテーラードアイテムとうまく混ざり合い、上品なリラックス感を生んでいた。
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