2019/02/13
破たんの「ルシアン ペラフィネ」、身売り先を探す
2019/02/13
フランスの高級カシミヤブランド「ルシアン ペラフィネ(Lucien Pellat-Finet)」が身売り先を探している。ブランドを運営しているRivoli Créationが昨年10月3日に再建型破産手続きを申請していたが、今月28日にまでに売却先を見つける必要が出てきた。
最初は事業再建計画が検討されていたものの、会社の厳しい経営状態を鑑みた結果、管財人であるAbitbol & Rousseletは会社売却を選択した。
創業者のルシアン・ペラフィネ氏は"カシミヤの王様"という異名を持ち、フリーランスのデザイナーとして「ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)」や「シャネル(Chanel)」といった一流メゾンで働いた後、1986年にRovoli Créationを立ち上げ、1994年には自身のブランドをスタートした。
「ルシアン ペラフィネ」ブランドはフランス、イタリア、スコットランド、日本での生産にこだわり、カシミヤやアルパカ、シルクなど高級な素材のみを厳選して使用している。スカルに代表されるロックなモチーフが特徴のデザインは、それまでのカシミヤとは一味違う現代的なスタイルを打ち出す。
一度は大きな成功を収めたブランドだが、近年は欧州への観光客の減少や激化する競争、戦略の欠陥などが重なり、業績は悪化の一途をたどっていた。SNSでもほとんど活動はなく、変わりゆく市場の動きに適応しきれなかった形だ。
「ルシアン ペラフィネ」は2016年度に売上高300万ユーロ(約3億7600万円)、営業損失160万ユーロ(約2億円)を計上していたが、その翌年2017年には更なる減収となり、売上高は220万ユーロ(約2億7500万円)、赤字も継続し営業損失は120万ユーロ(約1億5000万円)だった。2018年度に関しても大幅な落ち込みが予想されている。
「税金と社会保障費の滞納の他に、第三者に対する債務12万5000ユーロ(約1600万円)相当を抱えている」と管財人は述べており、売却先は、事業の維持、雇用の維持、そして買収額の3つの条件から選出するという。
Rivoli Créationは「ルシアン ペラフィネ」の営業活動を担っており、ブランドを管理するペラフィネ氏のホールディング会社Boybrookの傘下にある。パリにあるオフィスとショールームに5名の従業員を雇用していたものの、うち3名は最近解雇された。
同社はカワサキ ダイスケ(Daisuke Kawasaki)氏が代表を務め、「ルシアン ペラフィネ」商品の企画・開発・生産、そして日本を除く全世界での販売を手掛けている。
ちなみに、日本では国内代理店の伊藤忠商事が輸入・販売を行っており、国内に7つの店舗を展開。日本市場での売上がブランド全体の半分を占める。
2017年にはパリ ファッションウィークで初のランウェイショーも行った「ルシアン ペラフィネ」。当時71歳だった創業者も笑顔を浮かべていたが、皮肉なことにそのわずか2年後にブランドの運命は暗転した。ペラフィネ氏は、売却の件に関して本紙の取材を拒否している。
(2019年2月13日現在、1ユーロ=125円で換算)
不許複製・禁無断転載
© 2024 FashionNetwork.com