2015/09/08
世界初100%ナチュラルな羽毛繊維、新素材「Thindown™」
2015/09/08
100%羽毛でできた非常に薄く軽いテキスタイル「Thindown™」が、9月8日からの展示会「ミラノ・ウニカ(Milano Unica)」でお披露目された。「世界初の羽毛テキスタイル。100%ナチュラルでエコ、抗菌作用もあり、土に還すことが可能な自然な素材だ」。
カナダ人のロン・ルーベン(Ron Reuben)と、イタリアの事業パオロ・ボードー(Paolo Bodo)が共同で開発したこの商品は、完全にイタリア製。また、「世界で一番軽くて暖かいテキスタイル」と評されており、ガチョウ羽毛の用途に革命をもたらすものだという。
化繊の中綿素材とは違い、「Thindown™」は自然な方法を用いて羽毛を圧縮している。単一素材でできた繊維であるため、空気を通しにくく保温性に優れており、使用する羽毛の量は従来のダウンより少なくて済むという。また、キルティング処理も必要としない。
キルティングなどのかさばる加工が不要になっただけでなく、ダウンから羽毛が出てくる心配もないというわけだ。用途も衣服だけに限らず、靴などの小物や、新しいタイプの羽毛布団などにも対応する。
「イタリア、フランス、アメリカのハイエンドブランド6社にテストを頼んだが、非常に興味を持っていただき、各社がぜひ独占契約をと申し出てきた。もちろん断ったけれど。今後5年間はファッションの分野に特化して、この繊維を色々なブランドに売り込んでいきたいと考えている。その後はインテリア、そして建物の断熱と拡大していく方針だ」とパオロ・ボードーはコメント。彼は、「Thindown™」の開発と販売を手がけるNipi (Natural Insulation Products Inc.)社のCEO兼共同創設者を務めている。
また、もう一方のロン・ルーベンは羽毛生産・輸出のエキスパートで、長年にわたり羽毛を100%テキスタイルに作り変えるというプロジェクトに取り組んできた。2000年に初めて「Thindown™」の特許を申請、その後2007年と2014年にも別の特許を取得している。ここ数年は、各国のエンジニアを集めたチームと共に、新技術を用いた製造機械Nipi R40を使い新繊維の開発にあたった。
2012年、パオロ・ボードーとの出会いによってプロジェクトが形になる。ボードーは大手ブランドを相手にする企業家・コンサルタントで、当時はシックスティーグループ(Sixty group)のアジア支社を手がけていた。ルーベンともう1名の関係者と共にボードーはNipi社を立ち上げ、アメリカのP&W LLCと中国の企業1社を株主に迎えて事業をスタートさせた。
高品質な羽毛の供給を確保するため、NipiはサプライヤーMolina & C.との合弁会社を設立。現在までに1億ユーロ近い額をこのプロジェクトに投じている。「Thindown™」イタリアのキエーティで生産され、EMEAにある企業相手に限定しての取り扱いとなる予定だ。「2016年の生産量は30万メートルだが、2018年には300万メートルを目指す。このテキスタイルには無限の可能性がある。また、各ブランドのダウン生産をイタリアに誘致していきたいとも考えている」とボードーは締めくくった。
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