2020/01/17
パリ メンズ:「ヨウジヤマモト」、テーラードで見せる巨匠の"反抗"
2020/01/17
パリ メンズファッションウィーク3日目の夕暮れ。ストライキで疲弊した招待客が集う「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」のランウェイでは、脱構築とレイヤードを駆使した成熟のテーラリングの中に、若々しい反骨精神を感じさせるコレクションが披露された。
バックで女性ボーカルが「日本では自殺する若者が増えているらしい」とメランコリックに歌うなか、オープニングには重量感のあるロングコートが登場。トレンチを解体して継ぎ合わせたようなアイテムのほか、二種類のチェックツイードとテーラードジャケットをドッキングしたコートは、片側にだけフリンジをあしらったアシンメトリーなヘムが印象的だ。
その後もクラシックな素材で脱構築したミリタリー調のルックが長めのシルエットで続くが、徐々にレッドのタータンチェックやほつれた糸のアップリケ、首元から幾重にも垂れ下がるチェーンといった、どこかパンキッシュな要素も混ざる。足元にはレースアップブーツやスニーカーを合わせた。また、裾がほつれた厚手のウールセーターをスーツの上に重ねる着こなしも目を引いた。
インビテーションには第二次世界大戦下のレジスタンスの女性の写真が用いられていたが、キャットウォークに登場したモデルも多くがレジスタンス風のベレーを纏っている。
また、ネクタイにある「国産」の文字や、裾にさりげなくあしらわれた「呵々大笑」という刺繍、コートの背中にある「TAXEDO PARK」と禁煙のマークといったディテールは、若々しい遊び心を感じさせた。
しかし中でも目を引いたのは、立体的に生地をはぎ合わせたブラックのコートの背中に踊る「NAUGHTY YOHJI」という言葉だ。ファッションにおける"レジスタンス"の先頭に立ち続けてきた巨匠が見せた、複雑な反骨精神を感じさせるエモーショナルなショーだった。
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