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シャネル:ブルーノ・パブロフスキーが語る"メティエダール"新施設「19M」

掲載日
today 2019/10/11
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 シャネル(Chanel)社が、伝統工芸やクラフトマンシップを集めた施設「19M」の基礎を公開した。新たにヨーロッパの専門業者を買収するなど戦略的な投資も進めている。

Bruno Pavlovsky


 敷地面積2万5000平米を誇る新施設には、シャネルの傘下に収まる伝統工芸"メティエダール(Métiers d’Art)"の工房やメーカーが集結する予定だ。完成後は、600人ほどの従業員が勤務するという。2018年12月時点でシャネル社全体の従業員数は2万5000人以上と、10年前と比べて倍以上の人数になっている。
 
 昨年度の連結決算では、売上高が10.5%増の111億ドル(約1兆2000億円)、営業利益が8%増の29億9800万ドル(約3254億1900万円)を計上したシャネル。投資額も売上高の9.1%にあたる10億ドル(約1085億4600万円)以上と前年の2倍になっている。

 今年だけでも、イタリアのレザーグッズ業者Renato Cortiと、同じくイタリアのハンドバッグメーカーMabiの株式40%を取得したほか、フランスで12の革工房を束ねるGrandisにも出資している。
 
 そんなシャネルのブルーノ・パヴロフスキー(Bruno Pavlovsky)ファッションプレジデント兼シャネルSASプレジデントに、「19M」開設について聞いた。

シャネルの新施設「19M - DR


- なぜ「19M」開設を決めたのですか?
 
- 31社の専門業者のうち、11の工房を集約しようという意図がありました。20社は、それこそバリー(Barrie)のようにスコットランドであったり、フランスの他の地域やイタリア、スペインなどパリから離れていますが、今回集めた11社はシャネルの中心となる存在です。以前はパンタンやオーベルヴィリエといった郊外に点在していて、すべてが滞っていました。そうした状況で、別の可能性を考える必要があったのです。ここ、パリにできる「19M」に、"メティエダール"の歴史を集結させることが我々にとっては非常に重要でした。この11社は世界各国35ブランドと取引していて、うち19ブランドはフランスのオートクチュール・モード組合に加入しています。そう考えるとこの施設の重要さが理解して頂けるでしょう。こうした工房・メーカーが一堂に会するのです。5年後には受け入れる工房の数をさらに増やしたいとも思っています。「19M」はパリのクリエーションの中心となるはずだ。
 
 
- なぜMabi、Corti、Grandisの3社へ出資を?
 
- 手堅いパートナーとして、その技術・知識を継承し、より大胆に将来の展望を考える手助けをしていこうと思っています。これらの企業とは長い間共に仕事をし、同じビジョンを共有してきました。彼らの経験と知識を信頼したいというのがシャネルの希望です。シャネルとしての戦略はもちろんですが、Mabi、Corti、Grandisは今後も他の顧客との取引を続けていきます。

Chanel's Métiers d'Art: Goossens - Photos by Anne Combaz

 
- "メティエダール"は非常にフランス的なものです。それを一つの施設に集約するというのは、やはりこの伝統技術の重要性を示すのに最適の方法だということでしょうか?
 
- 20年後も変わらず存在していくには、人々の目に触れる必要があります。伝統技術の必要性をわかってもらうためにも、工房を訪ねられるようにするべきだ。彼らの名前を前面に押し出すことは、その貢献を正しく評価するという意味でも非常に重要だと思っています。ブランドのクリエイティビティはもちろん大事ですが、ショーには「技」や「仕事」も大きく影響します。しかしその裏では何人もの職人の手がかかっている。彼ら無しでは何も成し遂げられないのです。

Chanel's Métiers d'Art: Montex - Photo by Anne Combaz


- 目に触れる、ということですが、顧客などの訪問ツアーを組んだりする予定は?
 
- ほぼ毎日リクエストを受けていますよ。特に刺繍工房「メゾン ルサージュ(Maison Lesage)」の養成学校を見たいという要望は多いですね。ですから、学校であろうと顧客であろうと、切り離すのではなく、むしろ結び付けたい。現在、年間で80人を雇用しています。少ないようですが、トレーニングなどを考えると結構なチャレンジになる。最近では若い世代からの期待が大きいとも聞いています。ですから、ファッションビジネスを違った視点で見ることもできるはずだ。世界を変えることはできなくても、力を尽くしていくつもりです。


- この施設の建設にはどのくらいの予算をつぎ込んだのですか?

- シャネルでは、金額をどうこういうことはありません。結果がそれに見合うものであるかを考えて投資します。このプロジェクトが伝統技術の発展に寄与するかということは考えましたよ。確かに規模も大きいのでそれなりの出費となりましたが、シャネルだからこそ叶えられたプロジェクトです。

Chanel's Métiers d'Art: Lemarié - Photo by Anne Combaz


- 「19M」を訪れた人々に、何を感じてもらいたいと思いますか?

- クリエーションの鼓動のようなものを感じてもらえると思います。商品が形になっていくまさにその現場だ。工房とスタジオを繋ぐ存在で、それを皆さんと共有したい。それだけですね。パリ市内にこうした手仕事を集結させた場所があるというのは、非常に重要だと思います。


- 先端の道具を使ったイノベーションにも開かれていく予定でしょうか?あるいは、リサーチを行う研究所といったような用途は?

- まだ具体的なことはわかりませんが、将来的には、私たちが現在やっていることと新技術とが融合できればと考えています。エンブロイダリーやボタン、ジュエリーなど、我々がすでに3D技術を多く取り入れている分野もある。伝統的な技と先端技術を組み合わせつつ、少しずつ発展させようと取り組んでいます。しかし、新素材を開発しようとは思っていません。レザーはあくまでレザーだ。
 
 
(2019年10月11日現在、1米ドル=109円で換算)

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