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ジェノバの高架橋崩落、ベネトン・グループの戦略にも影響か

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Reuters
掲載日
today 2018/08/23
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 先日イタリア・ジェノバで高架橋が崩落した事件は、イタリアのカジュアルウェアブランド「ユナイテッド カラーズ オブ ベネトン(United Colors of Benetton)」を展開するベネトングループの戦略にも影響を与えそうだ。


 今回ジェノバで崩落し43名の死者を出した高架橋を運営していたのは、ベネトン傘下のアトランティアだった。ファッションブランドの不振を受け、事業を多角化してきたベネトングループの戦略は大きな成功を収めているものの、先日の事件により政府が管理権はく奪の方向へ動き出したことで、その貴重な資産にも危機が訪れている。
 
 アトランティアの株価はグリニッジ標準時(GMT)8月20日13時33分時点で7%以上下がっており、事件発生から比べると28%の下落となっている。

 ベネトンがインフラ事業に参入を始めたのは20年ほど前のことだ。運輸インフラ管理企業アトランティアをはじめ、レストラングループのアウトグリル(Autogrill)といった異種事業は、ベネトン一族の投資会社エディツィオーネ(Edizione)にファッションブランドをはるかに上回る利益をもたらしている。
 
 エディツィオーネの昨年の純資産総額は130億ユーロ(約1兆6700億円)近くに上るが、その半分以上が、保有するアトランティア社の株式30.3%から来るものだ。
 
 1960年代半ばに自社製のニットウェアを生産し始めたベネトン一族。インフラ事業への投資は勢いを増す一方で、アトランティアは近々スペインのACSと共同で同国の高速道路管理会社アベルティス(Abertis)を180億ユーロ(約2兆3100億円)で買収することも決まっている。
 
 2017年度のエディツィオーネの収益を見てみると、うち67%をインフラ事業が占め、ファッションはわずか8%にとどまる。
 
 80年代後半、インディテックス(Inditex)が展開する「ザラ(Zara)」などのファストファッションが誕生したことで、ベネトンのファッションビジネスに陰りが見え始めた。
 
 そんな中、90年代初めにイタリアで民営化が相次いだことも影響し、ベネトン一族は高速道路の管理運営事業に手を伸ばすことになる。彼らのやり方は、旧式の道路網を大きく発展させた。
 
 インフラ事業の掌握には問題も多かったが、他の業種への投資では必ずしもここまで大きな利益を上げることはできなかった。
 
 高速道路の休憩所にアウトグリルを併設したことで反トラスト法調査の対象となったし、テレコム・イタリアの件は結局赤字に終わっている。さらに、以前に試みたアベルティスの合併はイタリア政府の反対に合い失敗した。
 
 しかし、それでもアトランティアの売上高は2000年から比べて3倍に増えている。近年ではブラジルやポーランドなど国外の高速道路を買収し、イタリアとフランスの空港にも手を広げている。
 
 「こうした投資は金銭的な利益も生み出すが、同時にアトランティアへ多数の外国企業が出資するようになるというのも利点だ」と話すのは、ボッコーニ大学のアンドレア・コッリ(Andrea Colli)教授だ。
 
 しかし今回の崩落事故により、ベネトン一族の役割や影響力に再び疑いの目が向けられることとなった。現在、イタリアでは反体制派政党が政権を握っている。
 
 ベネトン一族に関する書籍を執筆したジョナサン・マントル(Jonathan Mantle)氏は、「スケープゴートとしては申し分のないプロフィールだ」と語った。
 
 最大政党「五つ星運動」党首のディマイオ副首相は先週、現政権はベネトンから政治献金を受けていない初の政府であり、一族の利益と対立することも辞さないと表明している。
 
 関係者筋は、エディツィオーネが国内の政党に直接政治献金を行ったことは無いと話す。
 
 エディツィオーネ側は、崩落事件の調査に協力を惜しまないとの意向を示している。また、犠牲者の葬儀にあたってはベネトン一族が別の声明を発表し、「悲痛な思い」を表明した。
 
 事件の起こった高架橋を運営・管理していたアトランティアの子会社アウトストラーデ・イタリア(Autostrade per l’Italia)も、橋の再建と補償に5億ユーロ(約640億円)を投じるとしている。

 
(2018年8月23日現在、1ユーロ=129円で換算)
 

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