ジルダ・ロアエックが語る 「メゾン キツネ」の未来

 2002年にジルダ・ロアエック(Gildas Loaëc)と黒木理也が立ち上げた「キツネ(Kitsuné)」が「メゾン キツネ(Maison Kitsune)」となり、今日では年間売上高4000万ユーロ(約52億3600万円)を計上するブランドに成長した。パリと東京を拠点に新しいステップへと踏み出したブランドは、特にアジアの消費者による需要の高まりが目覚ましい。
 
 今年3月にはストライプインターナショナルによる増資が決定したほか、日本ではジュンとの合弁を解消してメゾン・キツネ・ジャパン社の残りの株式を買い戻すという「メゾン キツネ」。新たに資金を調達したことで、ブランドの拡大計画にどのような影響があるのいか。共同創設者の一人、ジルダ・ロアエックが当紙に今後の展望を語ってくれた。

Masaya Kuroki et Gildas Loaëc - Maison Kitsuné

FashionNetwork.com(以下、FNW):ストライプインターナショナルによる増資の理由は?

ジルダ・ロアエック(以下、GL):ブランドの成長と拡大に必要な投資が受けられるという点では、理想的なパートナーです。その一方で、できるだけ独立していられる。ストライプインターナショナルはあくまで少数株主であって、僕らは自由だ。共同創業者である僕たち二人は、共同経営者兼主要株主であり続けます。
 

FNW:日本との繋がりもありますよね?

GL:(黒木)マサヤは長いこと東京を拠点にしていますからね。何より日本はフランスを大きく引き離し、ブランドにとって主力の市場になっている。日本では、重要な国内のビジネスはもちろん、アジア全体の事業も統括しています。アジアは非常に魅力的なマーケットだと思いますよ。ここまでずっと独立性を最大限保ちながらやりたいと望んできました。ヨーロッパでもアメリカでも、日本でもね。「ここまで」といったのは、韓国に関しては別だから。今は現地企業と提携して出店の計画を進めています。まだ詳しくは話せないけれど。韓国は単独で乗り込むのが難しい市場で、卸売ではすでに十分な手応えがあった。アジアにおいて韓国は日本に次ぐマーケットで、それに台湾、インドネシアが続く。そしてもうすぐ香港と中国本土が追いつくと考えています。
 

FNW:やはりアジアが最優先なのでしょうか?ストライプインターナショナルの意向でもある?

GL:先ほども言ったようにキャッシュ・フロー的な心配がないので、そういう意味では、ストライプによって新しい市場への進出が可能になると言えるでしょう。そしてやはりアジアでの伸びが目覚ましいので、優先順位は高い。来年にはロンドンに、さらにパリにも新しい店をオープンするつもりですが、ヨーロッパでも「メゾン キツネ」の店舗を訪れるのはアジア人観光客です。もちろん現地の顧客もいますし、現地での広報にも力を注いではいる。キツネを好きな動物に挙げる人も随分増えたんじゃないでしょうか。まだワニには及びませんけれど、時間が経てばどんどん浸透していくはず。まだ若いブランドではありますが、ロゴ入りの定番商品もしっかり確立できたと思います。
 

FNW:商品展開のバランスはどうですか?

 GL:上手くいっていると思います。毎年30%の増収がありますから!普遍的な商品だけでなく、よりファッション性の高いラインも用意しているし、ニットのような強いカテゴリも。メンズ・ウィメンズの売上構成比率はほぼ50:50ですね。色々なコラボレーションを積極的に行って、パンツやドレス、そしてスニーカーといったアイテムをより拡充していきたいと考えています。

 
FNW:「メゾン キツネ」のメインとなる顧客はどんな層ですか?

GL:20~35歳の男女でしょうか。インターネットと親和性が高く、インターナショナルで、もうすぐ開設する新しい場所でリーチしたい人々です。最近は「24セーヴル(24 Sèvres)(LVMHのECサイト)」でも販売を始めましたし、今後はギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)百貨店グループに出店して、フランスの地方や中国、中東に手を広げるのも良いですね。ギャラリー・ラファイエットとうちの客層は似ていますから。お互いに得るものがあるはずです。

京都の百貨店コーナー - Maison Kitsuné
 
FNW
:他にも出資のオファーなどはあったんでしょうか?

GL:はい、年間で30%の成長を記録していますし、そういうブランドは収益性も可能性もあると判断されるでしょう。現在、(ファッション、音楽、カフェ事業を含んだ)グループの売上は4000万ユーロ(約52億円)で、このままのリズムで成長を続けていくことが課題となります。中期目標は、次の段階のマーケティングに向けた投資を叶えるような、ツールと販売網を作り上げることですね。ブランドの知名度をより向上させたいと考えています。ですが、独立性を保っている現状では、投資に対する結果をすぐに出さねばならないといったような、期限や緊急性に縛られることがありません。とても自由なんです。ブランドというのは長い時間を掛けて定着していく。ブランドの知名度が一気に向上するような"偶然"が起こった時のために、いつでも商品が準備できる状態にしておきたいんです。そういう事態も起こり得ますよ!

 
FNW2019年にオープンするというロンドンの新店舗については?

GL:計画は進んでいます。ただ、あまり詳しくは話せません。他にも昨年11月には京都に出店しましたし、年末はホノルルに小規模な新業態もオープンしました。次は韓国にも出すだろうし……続くのはインドネシアかな?それから、「カフェ キツネ(Café Kitsuné)」も日本にもう一軒開く予定です。デパート内に店を作る計画もあるんですよ。

 
FNW:「メゾン キツネ」は複合的なライフスタイルを提案するブランドの草分けであったと思います。今日では同じような"ライフスタイル"ブランドが増えてきていますが、どう思われますか?

GL:これは僕らの在り方そのもので、マーケティング的に計算したのではないし、しようと思ったこともない。最初は音楽でした。今も精一杯取り組んでいます。次に始めたファッションに関しても全力を注いでいるし、そして現在はいわゆる「フード&ビバレッジ」というやつですね。(ライフスタイルという言葉より)フランス語の「アール・ド・ヴィーヴル(l’art de vivre)(生き方の意)」という言い方が相応しい気がします。それぞれが独立して存在している。僕らのストーリーは、ビジネススクールで作る事業計画のようなものではありません。深いところで、愛着を持って物事に取り組んでいきたいと思っています。
 

(2018年5月7日現在、1ユーロ=130円で換算)
 
 

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