パリ オートクチュール:「グオ・ペイ」、クチュールに捧げる賛歌 

 「グオ・ペイ(Guo Pei)」が7月3日にパリで発表したコレクションは、ストイックなまでに"クチュール"としての服と技にこだわったものだった。オートクチュール期間中にプレタポルテ(既製服)やリゾート、プレコレクションを発表するメゾンが増える中、全43ルックに渡り、現代ファッションへのアンチテーゼとも呼べる絢爛なオートクチュールショーを見せつけた。

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Guo Pei - Fall-Winter2017 - Haute Couture - Paris - © PixelFormula

 会場に選んだのは、オートクチュールが生まれたのと同時期、19世紀後半に建造されたオスマン様式の私邸、オテル・サロモン・ド・ロチルドだ。招待状と同じロイヤルブルーのランウェイは、人が横切るたびこまめに磨かれていた。
 
 オーガンジーのラッフルを幾重にも重ねた身頃に続く、マーメイドラインを描くスカート。フェミニンでエレガントなファーストルックに始まり、あらゆるクラシックなシルエットが登場。特に、腰から下に丸く広がるクリノリン風スカートは、ペールピンクやヘムにフェザーをあしらったミニドレス、オーガンジーに金の刺繍を施したドレス、花びらを模したようなドレスなど、様々なモデルに華やかなボリュームを加えていた。ボディ部分には、コルセット風のビスチェがフェミニンな体のラインを作り上げる。オーバーサイズやリラックスシルエットといった既製服のトレンドに真っ向から反対するような服作りは、まさにオートクチュールの黄金時代を彷彿とさせるものだ。

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Guo Pei - Fall-Winter2017 - Haute Couture - Paris - © PixelFormula

 「グオ・ペイ」のシグネチャーでもある豪奢なエンブロイダリーはもちろん健在で、シルバーやゴールド、そしてビーズやビジュー、パールをふんだんに用いた刺繍は、身頃全てを覆ったり、時にはドレスの上に垂らしたパネルに絵画のようにあしらわれたり、あるいは袖から覗かせたりと、コレクション全体に見られた。

 エンブロイダリー、フラワーコサージュ、ラッフルと、クチュールの要素を網羅したコレクションを完成させるのは、「ショパール(Chopard)」のキャロライン・シェウフェル(Caroline Scheufele)アーティスティックディレクター兼共同社長とコラボレーションしたジュエリーの数々だ。翡翠にパール、ゴールドを交えて、東洋的な要素を取り入れている。
 
 ヘアメイクも往年の大女優を思わせるクラシックなものだったが、玉虫色に反射するメタリックなテキスタイルがコレクションに現代的な色を加えていた。

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Guo Pei - Fall-Winter2017 - Haute Couture - Paris - © PixelFormula

 北京に生まれ、中国国内でキャリアを積んできた「グオ・ペイ」の名を世界に広く知らしめたのは、2015年のメットガラで歌手のリアーナが着用した黄色いドレスだった。メトロポリタン美術館の特別展「China: Through the Looking Glass」でも脚光を浴び、翌年にはフランスクチュール組合からゲストメンバーに承認、16年春夏オートクチュールコレクションでパリのランウェイデビューを飾っている。

 「西洋で成功するためには、グオは時代精神を理解しなければならない。今日のクチュールは、昔よりもずっと既製服に近くなっている」というのは、2016年にザ・ニューヨーカー(The New Yorker)誌で引用されたアンドリュー・ボルトン(Andrew Bolton)の言葉だ。
 
 今回も、やや覚束ない足取りで歩くモデルの足元には、やはり「グオ・ペイ」らしい非常に高いプラットフォームヒールが合わせられていた。「現代女性の生活に適している」とは言い難いが、自己表現を敢えて抑え「洋服そのものに集中することを決めた」とノートにある通り、理想化された"オートクチュール"をストイックに探究した今回のコレクションは、昨今のファッションの潮流と「時代精神」に対する彼女なりの答えなのかもしれない。
 

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