パリ クチュール:「メゾン マルジェラ アーティザナル」、ガリアーノの亡命生活

 冷たく湿ったパリの朝。「メゾン マルジェラ アーティザナル(Maison  Margiela Artisanal)」のショー会場は、しかし一面グラフィティに彩られていた。

Maison Margiela Artisanal - Spring/Summer 2019 - Photo: Maison Margiela/ Instagram

 グラフィティに描かれたブルーのプードル犬のモチーフは、コレクションの中でも様々なルックに登場している。
 
 オープニングを飾ったのはフリンジ状のほつれが印象的なシャーマン風のルックで、まるで背景のグラフィティが3Dになって飛び出してきたかのようだ。頭にはカットアウトのラグビーキャップやインドネシアのフィッシャーマンのようなハットをスタイリングし、大胆なジェンダーフルイドを見せた。
 
 ショー半ばではアブストラクトな表現が増え、パッチワークのカクテルドレスをメンズモデルに着せたジェンダーベンディングなルックや、プードルを刺繍したハリスツイードのケープなどが目を引いた。
 
 キャットウォークは鏡張りで、衣服の複雑な構造やクオリティをつぶさに観察できる。BGMはマイケル・ナイマンの『Knowing The Ropes』だ。
 
 挑発的でアグレッシブ、パワフルなクチュールショーだった。しかし一方で、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)の得意とする要素が少し不足しているようにも感じられた。そう、"フェミニティ"だ。「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」を去って「メゾン マルジェラ」に就任して以来、ガリアーノは確かに力を取り戻している。だが、女性的な美しさをシアトリカルに再解釈する彼の手腕はランウェイから遠のいて久しい。今回のガリアーノのパリ滞在は、まるで亡命生活のようだ。物理的な話だけではなく、彼自身のクリエーションの鍵となる要素が欠けている。

 

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