パリ ファッションウィーク:「アンリアレイジ」の"高解像度"ファッション

 15周年を迎え、LVMHプライズのセミファイナリストにも選ばれた森永邦彦の「アンリアレイジ(Anrealage)」。パリで発表した最新コレクションでは、ベーシックなワードローブを再解釈し、デジタル時代の服の在り方を探求してみせた。

Image: Anrealage

 ブランドの原点でもある「神は細部に宿る」をテーマに、基本的なアイテムのディテールに焦点を当てた。事前にブランドのインスタグラムアカウントに投稿された写真は、どれも一見するとごく普通の洋服をアップで撮影したものばかりだ。会場に設置された巨大なトルソーには、トレンチコートやホワイトのシャツ、ブレザー、Tシャツといった同じくベーシックな服が着せ付けられている。
 
 一旦ショーが始めると、確かにインスタグラムで"見たまま"の服を纏ったモデルが次々に現れた。ズームされたはずの"一部"は、なんと 洋服の"全体"だったという仕掛けだ。トレンチコートやシャツの襟はそのままケープジャケットになり、ネックラインはフロントで深いVを描く。さらに、トレンチコートは袖の部分も別のドレスになっていて、袖ベルトがウエストベルトになったドレスとの"トータルルック"が目を引いた。また、モッズコートのフードはそれ自体がアウターとなり体を包み、ドローコードでウエストをマークすることでドレスのようなエレガントなシルエットを作っている。

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Anrealage - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris

 ボタンもそのまま拡大され、シャネル風ジャケットのポケットやブレザーの袖についたものから、ダッフルコートのトグルボタンまでもが巨大なサイズでアクセントになっていた。マフラーはオーバーサイズのロゴアイテムかと思いきや、よく見れば「ANREALAGE」のロゴの下に「46」とサイズを書いた小さなでっぱりがあり、それがネームタグだとわかる。アクセサリーも、本来留め金である部分がそのまま長いチェーンネックレスに変身した。
 
 他にも、MA-1の袖をそのまま着たドレスは印象深かった。リブの部分が胸当てになっていて、バッカリングがギャザーになることでスポーティかつシックなアイテムになっている。ニットとしては他にも靴下を使ったアランセーターがあったが、どれも「写真を撮った時に違和感がないように非常に大きなゲージで編んだり、素材の質感も工夫した」という。

 シュールレアリスティックな発想ではあるが、実際のアイテムはどれも不思議と実用性のあるデザインに仕上がっていて、"普通"の洋服と組み合わせても違和感がない。単なるオーバーサイズや脱構築ではなく、コンセプチュアルでありながら遊び心も感じられ、地に足のついたワードローブに仕上がっていた。

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Anrealage - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris

 「アンリアレイジ」がパリでコレクションを発表し始めて5年になるが、「この5年間は『光と影』を探求してきたが、今度は『服そのもの』にフォーカスしていきたい」と森永デザイナー。「画面に映るとスケール感などがわからず、全てが同じ大きさになってしまう。そうした過程で失われたり見逃されたりするものがあるのではないか。そういう意味で、バーチャルな世界と現実、非日常と日常とのギャップをテーマにした」と説明してくれた。
 
 3月19日に東京ファッションウィークで披露するショーについては、「全く違うことをする」と話す。「パリでの発表が基本ではあるが、理想は東京とどちらでもショーを行うこと。そうやって世界観を発信することが重要だ」。
 
 LVMHプライズのセミファイナルを控え、「今までやってきたことをきちんと伝えられるようなプレゼンテーションにする」と意気込みを語った森永だが、「服を分析したり、現代の洋服の在り方を考察しながら、それを日常着として提案していきたい」との言葉通り、コンセプチュアルかつウェアラブルなコレクションで、パリ5年目にしてフレッシュな視点を披露してみせた。

 

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