パリ ファッションウィーク:「サンローラン」、"魔法使いの弟子"

 アンソニー・ヴァカレロ(Anthony Vaccarello)が手掛ける「サンローラン(Saint Laurent)」は、前任のエディ・スリマン(Hedi Slimane)の「セリーヌ(Celine)」デビュー3日前となる25日にショーを披露した。

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Saint Laurent - Spring-Summer2019 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 ケイト・モス(Kate Moss)をイネス&ヴィノード(Inez & Vinoodh)が撮った2018年秋冬のキャンペーンは確かに素晴らしい出来だったが、次シーズンのランウェイを見ると、少しばかり先行きに不安を感じた。
 
 会場のセットは凝っていて、白いヤシの木に囲まれた浅いプールがキャットウォークになった。ショーは午後8時ちょうど、輝くエッフェル塔を合図にスタートした。
 
 しかし、プールの中を歩かせるというアイディアは誰が思いついたのだろうか?
 
 「『サンローラン』のモデル、水上を歩く」などという記事を書くのは容易だろうし、動画としても映えるかもしれない。だが、初秋の肌寒い空気の中で見ていると、やはり無理をしている感が否めない。何しろ多くのモデルがシフォンのパンツやブラウスを纏っているのだ。
 
 コレクションに関して言えば、ホワイトのピンストライプブレザーやクールなミリタリージャケット、4つポケットのボレロに、レースのカフスがついたゆったりしたシャツなどは素晴らしかった。
 
 しかし一方で、コントラストラペルのタキシードにホットパンツ、ネイティブアメリカン風のスエードチュニックや、シフォンのロングドレスといったアイテムは、全て見覚えのあるものばかりだ。水の上を歩くモデルにとってみれば、服を濡らさないように歩くのは至難の業であっただろう。

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Saint Laurent - Spring-Summer2019 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 会場やセットで期待は高まったものの、蓋を開けてみるとどこか無理をしたような、ちぐはぐな印象で、あまり「サンローラン」的ではないように思われた。果たして、イヴが今回のショーを見たとしたら喜んだであろうか。インダストリアルな音楽も、デススターのエンジンルームに投げ込まれたようであまり効果的とは言えなかった。
 
 エディ・スリマンがパリへのカムバックを控えているなか、今回の実験は失敗に終わってしまったようだ。
 
 今回のショーで思い出したのは、ディズニー映画『ファンタジア』の「魔法使いの弟子」だった。師匠が眠っている間に魔法を使う弟子だが、結局は部屋を水びだしにしてしまう。
 
 

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