パリ ファッションウィーク:「シクラス」、貫禄のランウェイデビュー

 小野瀬慶子の「シクラス(Cyclas)」が、パリ ファッションウィークの公式日程で初のランウェイショーを披露した。長年のセレクトショップ経験から来る商業的なセンスに、ラグジュアリーな素材と仕立て、そこへクリエイティブなエッジが加わったことにより、クレバーで質の高いコレクションに仕上がっていた。

Courtesy of Cyclas

 あくまでも洗練されたエレガントなスタイルをベースに、一癖あるアイテムや意外性のあるディテールを添えたワードローブは、現代女性の様々なシーンにマッチするよ隙のない構成だ。上質なニットの数々に、レイヤードもしやすいプリーツスカート、適度にリラックス感のある美しいラインのパンツ、ボウと飾り袖のついたブラウス。アウターではベージュの柔らかいレザージャケットや、グラフィカルなファージャケット、テディコート、ガウンコート、構築的なラインを描くテッキーな素材のダウンケープなどを揃えた。片方の身頃が半分にカットしたり、ベルトをフロントにあしらったりした変形ジャケットなど、テーラードアイテムも忘れていない。
 
 ホワイトやベージュ、カーキ、ライトグレーといったソフトでニュートラルなカラーに、ネオンイエローやオレンジ、パープルなどアクセントに加わる。シルエットは全体的にリラックスしたものだが、精緻なカッティングでクリーンに仕上げていた。

Courtesy of Cyclas

 前半で見られたオールホワイトのルックでは、張りのある素材を使ったトップスにクチュールライクなオーガンジーのプリーツエプロンを重ねたり、スポーティなフーディのついたケープとはシルクサテンのパンツを合わせたりと異なるテイストのミックスも。また、ハウンドトゥース柄のメタリックでフルイドな素材は、フルレングスのドレスやスカートといったアイテムで印象的に使われていて目を引いた。
 
 ファーで覆ったパンプスや、コートと同じジオメトリックなファー使いのバッグなど、アクセサリー使いもぬかりない。

Courtesy of Cyclas

 慶應義塾大学でマーケティング・ビジネスを学び、文化服装学院アパレルデザイン科でファッションデザインを学んだ小野瀬慶子は、その後伊藤忠ファッションシステムを経て「ユナイテッドアローズ(United Arrows)」のバイヤーとして13年の経験を積んだ。2007年に独立して立ち上げた「ザ・シークレットクロゼット(The Secretcloset)」は大きな成功を収め、現在日本国内に5店舗を展開している。オリジナルブランドである「シクラス」は2016年にパリの展示会でデビューを飾ったばかりだが、初シーズンでニューヨークの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)」と同都市独占契約を結ぶなど、早いうちから関心を集め、今ではイタリアや韓国でも販売されている。
 
 初のランウェイにあたっては、「よりユニークな、『シクラス』らしさを伝えられれば」と語った小野瀬デザイナー。素材選びには特にこだわり、様々な質感を組み合わせたというが、カッティング、素材、スタイリング、ディテールと、隙のない完成された世界観を見事に表現してみせた。

 パリのショーに求めるもの、と問われると迷いなく「インターナショナルなビジネス」と答えてくれた通り、クリエーションだけではなく、「売る側」としての視点や「ビジネスとしてのファッション」を的確に取り入れたバランス感覚で、非常に安定したショーを見せた。

 

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