パリ ファッションウィーク:「シャネル」、"雪の国"でカールとお別れ

 亡きカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が手掛けた「シャネル(Chanel)」最後のコレクションがパリのグランパレで発表された。涙を浮かべる人も多く、しんみりとしたムードのショーとなった。

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Chanel - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 コレクションも会場のセットも、カールの最後の作品だ。今回は実物大の煙突から煙の出る巨大なスキービレッジを建築士、2000人近い観客はアルプスの山々に囲まれ木製のベンチに腰掛けた。今シーズンのコレクションは、1983年に始まったカールとの歴史に幕を下ろすものだ。
 
 「Chalet Gardenia」と名付けられた中央の小屋の前に40名ほどのモデル達が集まり、カラガーフェルドの親友だったDJ、ミッシェル・ゴーベール(Michel Gaubert)が1分間の黙とうを呼びかけた。その後は生前のラガーフェルドの声がスピーカーから流れ、「シャネル」就任当初の話を語る。
 
 「オファーをもらった当初、皆が口をそろえて『やめた方がいい、絶対に無理だ。もう終わっている』と言ったんだ。今の時代、どんなブランドでも復活だ何だと言うけれど、当時はそんなことは誰もしなかった。新しいデザイナーが求められていたのさ。別の世界を作らないといけない、というようなね。だけど、私はそれでも面白い話だと思った。ブランドの性格も、何もかもがね。もう一度頼まれたときには、皆が反対するからという理由で引き受けたのさ。だけど、ブランドが再びファッションに、皆が欲しがるものになったのはその時が初めてだったと思う。クイーンマザー エリザベス皇太后でさえそうだった。今でも忘れないよ。彼女が車から降りてきて……花や色々なもので飾っていたんだけど、英語でこう言われたんだ。『まあ、絵の中を歩いているみたいね』って。絶対に忘れないよ」。

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Chanel - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 鐘の音でスタートしたショーは、その名も「Chanel in the Snow」だ。120メートルはあろうキャットウォークの上には人工雪が降りしきる。長い間「シャネル」のアンバサダーを務めているカーラ・デルヴィーニュ(Cara Delvingne)がオープニングを飾り、ホワイトとブラックのパンツとハット、オーバーサイズのハウンドトゥースコートを纏って現れた。そしてランウェイを締めくくったのはオランダ人モデルのルナ・ビジル(Luna Bijl)だった。その前には、雪玉を象った白いスカートに身を包んだペネロペ・クルス(Penelope Cruz)も登場している。
 
 真冬の装いとしては、オーバーサイズのチェックのツイードコートには大きなチロリアンハットを合わせたものや、ウィンドウプレーンチェックのアンクルレングスのコートなどが目を引いた。
 
 ミディ丈のフレアスカートには裏地にシアリングを貼ったハイキングブーツをスタイリング。スカートにはノルディック調のモチーフがあしらわれているものもあった。また、裾を切りっぱなしにしたツイードのミニスカートや、ツイードのショートレギンスなども。
 
 フィナーレはオールホワイトのルックが続き、パンツスーツとロールネックセーター、パールブレスレット、さらにバックルに至るまで真っ白だ。さらに、雪玉の形のスカートには、カールらしいユーモアのきいたケーブルカーのキャビンを模したバッグが合わせられた。

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Chanel - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 一流のメゾンで一流のキャリアの終わりに相応しい、上質なコレクションだった。チームによると、亡くなる直前まで変更を指示しにアトリエを訪れていたという。2005年から始まった、巨大なセットによるランウェイショーの伝統も幕を閉じることになる。ヴェルサイユ宮殿の庭園や、エッフェル塔、スーパーマーケット、アートギャラリーと、グランパレの中には様々なセットが出現した。
 
 「偉大な友人と、美しい人生を心に刻みましょう。彼は本当に寛大で、貴族的な紳士でした」と話したのは、「シャネル」のオーナー兄弟の一人、ジェラール・ヴェルテメール(Gérard Wertheimer)だ。
 
 また、「シャネル」の監査役会会長を務めるフランソワーズ・モントネー(Françoise Montenay)は、「カールは自分の望む通りの方法で去った。最後まで情熱をもって仕事をして、愛する人たちに囲まれていました。こんな終わりを望まない人なんているでしょうか?」と語る。
 
 マリオン・コティヤール(Marion Cotillard)、クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)、ヴィルジニー・ルドワイヤン(Virginie Ledoyen)、ジャネール・モネイ(Janelle Monáe)、アルマ・ホドロフスキー(Alma Jodorowksy)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)、クラウディア・シファー(Claudia Schiffer)、カレン・エルソン(Karen Elson)など、フロントロウに並ぶ女優や元モデルたちにとってもエモーショナルな瞬間となった。
 
 キャットウォークでも、マリアカルラ・ボスコーノ(Mariacarla Boscono)からアンナ・エワース(Anna Ewers)まで、モデルたちは涙を流していた。
 
 クリエーションは、ラガーフェルドの右腕として20年以上働いたヴィルジニー・ヴィアール(Virginie Viard)が後を継ぐことになる。プログラムには、メゾン史上初めてカール・ラガーフェルドに並んでヴィルジニー・ヴィアールの名前がデザイナーとしてクレジットされていた。
 
 ヴィアールは黒に身を包み、「Chalet Gardenia」の玄関に姿を現したが、観客に軽く手を振った後すぐに涙を流してバックステージへ身を隠してしまった。一人で手掛ける初めてのコレクションは、次のクルーズラインになる予定だ。ランウェイはやはりグランパレで行われる。
 
 

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