2018/10/01
パリ ファッションウィーク:「バレンシアガ」のデジタルアート
2018/10/01
「バレンシアガ(Balenciaga)」のショーは、他に類を見ないほどのユニークなセットの中で行われた。デムナ・ヴァザリア(Demna Gvasalia)がバーゼル・アートフェアで出会ったアーティスト、ジョン・ラフマン(John Rafman)のデジタルアートにフィーチャーしたものだ。

LEDスクリーンで覆われた巨大な四角いチューブの中に入った観客は、窓に落ちる雨垂れ、溶岩流、打ち寄せる波、火の玉、溶けたセルロイドにティッカーテープ機など様々なイメージに包まれた。
会場の演出だけでは空虚なものとなってしまうが、ヴァザリアの披露したコレクション自体も非常に説得力のある仕上がりだった。
最初のルックはピンストライプのコートドレスで、ウエストがチェスの駒のようにシェイプしており、ショルダーラインは直角のラインを描く。同じシルエットは、スリークなレザーやパウダーブルーのウール、あるいはショッキングブルーのテッキーなベルベットなど異なる素材使いで何度も見られた。「バレンシアガ」ではいつもボリュームが鍵となるが、ヴァザリアも色々なフォルムで遊んでみせた。ワンショルダーのアイテムには、ブランドのロゴが平行に並んでいる。
「ネオテーラリングとかニューテーラリングとか読んでいるよ。直線的な、硬いスクエアのショルダーを作った。そのまま座れそうだし、ソファみたいなものだね」とデムナ・ヴァザリアは笑った。
メンズのコレクションも同時に披露されたが、中でも流れるような質感が新しいマオカラーのスーツのほか、やはりフルイドなベルベットを用いたパンツやシャツジャケットなどが多く見られる。他にも、60年代を思い起こさせるラグランスリーブや、シャツ自体がジャケットになったアイテムなども。

「肩パットや肩章は要らない。クラシックなスーツの肩肘張った感じを取り除いたんだ。新しい世代にテーラードアイテムを着せたかった。まるでジャージを着るような感覚で、ボンド・ストリートやサヴィルロウみたいな敷居の高いものでない、親しみやすいものを目指した」とデムナ。
コレクションもショーの演出も素晴らしく、ラフマンとヴァザリアは、アートとデジタルによってファッションに新しい視点を持ち込んでみせた。
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