パリ ファッションウィーク:パリの日本人デザイナー新世代

 今シーズンのパリ ファッションウィークでは、「マメ(Mame Kurogouchi)」と「オーラリー(Auralee)」の若手日本ブランド2組がプレゼンテーションを行った。どちらも日本の素材にこだわり、しかし素材に振り回されることなく、丁寧なものづくりから広がる独自の世界観を表現している。それぞれ第一回、第二回「Fashion Prize of Tokyo」を受賞した新世代の日本デザイナーたちは、フレッシュでありながらも洗練されたマチュアなコレクションを披露した。


「マメ」が集める記憶の欠片

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Mame Kurogouchi - Fall-Winter2019 - Womenswear - Paris

 パリでは2度目のプレゼンテーションとなる「マメ」。デザイナーの黒河内真衣子は前回から引き続き自身の日記をベースにコレクションを制作したが、今シーズンは特に江戸時代17世紀の古い布や、古伊万里の欠片に着想を得た。深いブルーを主役に、夢想と現実、過去と現在、東洋と西洋を行き来して集めた「断片」が、彼女のパーソナルな経験と視点で混ざりあう。

 流れるようなシルエットを描くサテンのドレスは着物の職人が仕立てたもので、チェック、エンブロイダリー、レースといった異なる素材をパッチワークした。グレーと銀のオーガンジードレスは袖にオレンジのラッフルとレースが連なり、まるでクチュールのような仕上がりだ。メタリックの糸を織り込んだツイードのボンバージャケットや構築的なシルエットのマウンテンパーカといったアウターが秋冬のワードローブを完成させていたが、「ウールやカシミヤといった素材を重くならないように工夫して使った」との言葉通り、軽やかさの感じられるルックになっている。非常にフェミニンでエレガントでありながら、「日常生活で着る」ことを意識したデザインには現代性も感じられる。

 「日常の中の美しさ」を探求する黒河内は、お気に入りのバスソルトのブルーからアンティークの陶器を包んでいた布のオレンジまであらゆるインスピレーションを取り入れた。トゥーマッチにならずどこかに慎しみが感じられるミックスやレイヤードには、日本の伝統をコンテンポラリーな文脈に落とし込む確かな手腕が垣間見えた。


ストイックに素材と向き合う「オーラリー」

Courtesy of Auralee

 岩井良太が手掛ける「オーラリー(Auralee)は、パリの彫刻家コンスタンティン・ブランクーシのアトリエで パリ初のプレゼンテーションを発表した。生産にもこだわりぬいた日本製の素材を主役に、まるで彫刻のように布の本質が洋服に表れたコレクションに仕上がった。

 メンズ・ウィメンズ双方のルックが披露されたが、ホワイトやベージュ、グレー、ブラウンなどソフトでニュートラルな色合いを中心に、チェック以外の柄物を排除したストイックさが、精密なカッティングと素材の良さを引き立てている。奇をてらわないベーシックなアイテムは、どれもリラックスしていながらミニマルでクリーンなシルエットだ。中でもスムースコットンで仕立てたピンクやペールグルリーンのパッファージャケットや、チェックのシティコート、トレンチコートなど、上質な素材の存在感が引き立つアウターウェアが目を引いた。

 2015年春夏からスタートした「オーラリー」は2017年に東京へ旗艦店も開設しているが、プレゼンテーション形式でコレクションを発表するのは今回が初めて。日本では業界人をはじめ、すでに多くのファンを獲得しており、カナダ、イギリス、フランス、ニュージーランド、台湾、韓国、香港と外国にもいくつか卸先はあるものの、国際的な展開はまだまだこれからだと話す岩井デザイナー。今回はどんな人種や国籍の人が着ても「その人の個性が引き立つように」と多様なモデルをキャスティングし、布だけでなく着る人の「本質」を際立てるようなモダンなベーシックウェアを提案した。

 

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