2019/06/19
パリ メンズ:「タカヒロミヤシタザソロイスト」、ユニフォームとミッキーマウス
2019/06/19
宮下貴裕が手掛ける「タカヒロミヤシタザソロイスト(Takahiromiyashita Thesoloist.)」がパリで2シーズン目となるランウェイショーを披露。フォーマルウェアやユニフォーム、ポップアイコンを解体し、繊細でどこか思春期的な独特の感性で再構築してみせた。
会場となったパリ大学医学部の大回廊には、大きな窓ガラスから初夏の強い西日が差し込んで独特の陰影を描いていた。
メランコリックな音楽と共に幕を開けたショーでは、まずオールホワイトのルックが続いた。19世紀の男性下着、ユニオンスーツを思わせるジャンプスーツは、ウィングカラーシャツの襟元とタイだけを取り付けたようなディテールが。ウェスタンベルト、グレンチェックのゲートル、チェーンの連なったネックレスをスタイリングし、足元には厚底のレースアップシューズを合わせている。
その後グレンチェックのキルトや、ブラックのテーラードアイテムと徐々に色が差し始めるが、中盤では黒字に白で書き殴ったようなメッセージが一面に配されたグラフィティプリントが登場。少年じみて痩せたモデル達が纏うと、一様にどこかパンキッシュな反骨精神を感じさせる。
どのルックにも共通していたのは、フォーマルウェアやユニフォームの特徴的なパーツを切り取ってあしらったデザインだ。タキシードシャツの身頃だけを被ったようなトップスや、サコッシュ状に斜め掛けされたジレも目立った。他にも、ブラックで仕立てたファイヤーマンハット、マリンオフィサーのジャケット、甲冑を思わせるジャケットのボンディングなど、紳士服や制服のコードが服から切り離されてモンタージュされている。
しかし、やはり中でも一番目を引いたのは、あちこちに見え隠れするミッキーマウスの存在だろう。薄いブラックナイロンのセットアップやキルトには、よく見るとミッキーのパターンが一面にジャカードで描かれている。また、ジャケットの刺繍はもちろん、グラフィティ模様やネックレスにはミッキーマウスの手だけがさり気なくあしらわれた。
足元には厚底のブーツのほか、「コンバース(Converse)」とのコラボレーションによるスニーカーを合わせている。
紳士服や制服のコード、世界的なキャラクターといったオーソリティを分解して再構築するやり方には、詩的でメランコリックな宮下らしいロックスピリットが感じられた。
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