パリ メンズ:「ルイ・ヴィトン」、マイケル・ジャクソンに捧げるオマージュ

 ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」メンズで2シーズン目となるコレクションを発表した。今最も旬なデザイナーであるアブローだが、メディアのインタビューなどでは、自分のことを"デザイナー"だとは思っていないと何度も述べている。謙虚だと評価される一方で、この言葉が部分的に真実であるらしいことは今回のショーからも窺えた。

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Louis Vuitton - Fall-Winter 2019 - Menswear - Paris - © PixelFormula
 
 確かに、アブローは偉大な"ショーマン"だ。様々な階級や人種、文化が交じり合うNYのロウアー・イースト・サイドを模したセットは大掛かりなもので、通りの名前の標識や落ち葉、空きビンにグラフィティまで再現されている。さらにデヴ・ハインズ率いるジャズbンドはバックでマイケル・ジャクソンのヒットナンバーを奏でていた。
 
 ちなみに、ジャクソンが初めてムーンウォークを披露したのは『ビリー・ジーン』のパフォーマンスだったが、その時着用していたクリスタルつきの白い方手袋が、今回のインビテーションでもフィーチャーされていた。
 
 「『ルイ・ヴィトン』はオンリーワンの存在だ」とヴァージルはノートに記している。「ジャクソンは少年時代から大人になっても、人生を通して世界中から注目される舞台に立ち続けてきた。そんな人物のファッションセンスの変遷を考えた時、彼の人生は貴重な記録になっているように思われる」。

 フロントロウには2人の息子を伴ったLVMHグループのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼CEOも姿を見せた。ムッシュ・アルノーは、会場となったテントの中に漂うマリファナに似た香りをどう思ったのだろうか。
 
 サックスの美しい音色でショーは幕を開けた。オープニングを飾ったルックは、フェルトウールのコートとスーツで、グレーのシルエットにはオーバーナイトバッグを合わせていた。また、ボリュームのあるダウンジャケットやウールのコートには「LV」のモノグラムが躍り、オーバーサイズのキルティングコートは日本のアヴァンギャルドブランドを思わせる。足元にはクリーパーシューズ風のスニーカーを合わせていた。また、キャバルリー・シャツ」やジャケットには、立体になったモチーフをあしらうユニークな細工も見られる。

Louis Vuitton - Fall-Winter 2019 - Menswear - Paris - © PixelFormula

 しかし、アブローが果たして"デザイナー"か否かという議論は置いておくにしろ、少なくとも"テーラー"でないことは確かだ。カッティングやラインは今ひとつ際立っていない。
 
 マイケル・ジャクソンのダンスパフォーマンスを模したモデルの纏っていたパープルのサテン生地を用いたルックや、モノグラムレザーの胸当て、フラッグパッチワークのウェアを同柄のビッグトートと合わせたものなど、目を引くデザインも多い。一方で、このコレクションにはスポーツウェアの要素が濃く、"エレガントな旅"を打ち出す老舗メゾンにしてはやや無理がある印象だ。
 
 コレクションのタイトルも、「Sliding, Backwards, Slowly(ゆっくりと滑って後ずさる)」とマイケル・ジャクソンを想起させるものになっている。最後に姿を見せたアブローを拍手で迎える招待客の人種は、パリの大手メゾンのショーでは他に類を見ないほど多様だった。
 
 

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