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2020/02/26
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パリFW:「ディオール」、フェミニズムのマニフェスト

掲載日
2020/02/26

 今季の「ディオール(Dior)」は、メゾンのルーツではなく、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)自身のルーツへと立ち戻り、クレバーでシック、かつコマーシャルなコレクションを見せた。

Dior - Fall-Winter2020 - Womenswear - Paris - © PixelFormula


 ノスタルジックでありながら決して古臭くはならない絶妙の感覚で、キウリは60~70年代イタリアのアイコニックな女性やフォトグラファーにフォーカス。それをジーンズ、ボールドなチェック、シアーなドレス、コンバットブーツなど、彼女のパーソナルなワードローブに落とし込んだ。
 
 ショーはトムボーイなスーツで幕を開け、それにカッティングの見事なスリップドレスが続く。「CD」のロゴベルトにコンバットブーツを合わせ、キウリの若かりし頃を思い出させるスタイリングだ。ショーの前のインタビューでは、美術学校に行きたいと母親に頼んだエピソードを披露していた。結果、母親はローマのブルジョワ地区にある厳しい学校へと彼女を通わせたという。

 そうした青春時代を反映してか、インディーなエッジを加えたクラシカルなアイテムも多く登場した。マニッシュなブレザーにネクタイ、プリーツスカートをハイキングブーツと合わせたり、ロゴ入りのブラとシアーなブラウスを傘ね、ブラックのシルクタイを重ねたルックも。エネルギッシュだが、上手くバランスが取れている。頭にはスカーフやキャスケットを合わせた。

Dior - Fall-Winter2020 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 
 ミニドレスから膝丈までレングスも様々で、ミディスカートにはやはりごつめのブーツをスタイリング。また、モザイクパターンを施したニットのカラムドレスも素晴らしかった。
 
 フリンジは、チェックのケープコートからウールのスクールガールスカート、パーティードレスなどあらゆるアイテムに見られた。ミラノから続く一大トレンドを反映している。
 
 「こんなにフリンジがあちこちに出てくるなんて思わなかったのよ。でも個人的にフリンジは大好き」とキウリ。
 
 チュイルリー公園内に設置されたテントの内装は、アーティスト集団クレール・フォンテーヌ(Claire Fontaine)との協業により実現したもの。天井からは、「Women Raise the Uprising(女性が反旗を翻す)」、「Women are the Moon that Moves the Tides(女性は潮の満ち引きを引き起こす月である)」、「Patriarchy=Climate Emergency(家父長制=緊急事態)」、「When Women Strike the World Stops(女性がストライキを起こせば世界は止まる)」といったフェミニズムのマニフェストが掲げられていた。

Dior - Fall-Winter2020 - Womenswear - Paris - © PixelFormula

 
 バックステージのムードボードには、パルマ・ブカレッリ(Palma Bucarelli)やカルラ・アッカルディ(Carla Accardi)からブリジット・バルドー(Brigitte Bardot)、ジェーン・バーキン(Jane Birkin)、ビアンカ・ジャガー(Bianca Jagger)まで、様々な女性の姿がある。
 
 キャットウォークのフロアにはフランスの新聞「ル・モンド(Le Monde)」の紙面がシリコンで埋め込まれており、バックミュージックは坂本龍一で始まり、Roísín Murphyのディスコバラード『Ancora Tu』まで取り入れられた。
 
 さらに、フロントロウにはティックトッカーのTaylor Hageや、女性教育に関する活動家でユーチューバーのLiza Koshyなどの姿もあった。
 
 女性のエンパワーメントをファッションで軽やかに表現したキウリ。コレクションは安全な域を出ないもので、過去一番の出来とはいえないものの、それでも時代の精神を反映した良いショーに仕上がっていた。

 

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