ミラノ ファッションウィーク:「フェンディ」、カールとのお別れ

 先日亡くなったカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が「フェンディ(Fendi)」で最後に手掛けたコレクションが、ミラノにて発表された。

Fendi - Fall/ Winter 2019 - Milan - Photo: CNMI

 フィナーレでは、カールの長年の友人でもあったDJミッシェル・ゴベール(Michel Gaubert)がデヴィッド・ボウイの「Heroes」で別れを捧げた。ラガーフェルドは「フェンディ」で54年もの間デザイナーを務めてきたが、2月19日の朝、パリで息を引き取った。ランウェイも歩くモデルやフロントロウに座るLVMH幹部の目にも涙が浮かぶ。
 
 ベラ(Bella)とジジ・ハディッド(Gigi Hadid)姉妹は最後に続けて登場し、薄く透けたプリーツのシフォンドレスとロゴタイツを合わせたルックを纏っていた。シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)が挨拶に姿を現したが、顔に浮かんだ笑顔はすぐに崩れて首を振ってバックステージへ去っていった。会場に掲げられたパネルには、カール直筆の「Love Karl」という言葉が。
 
 「カール・ラガーフェルドと『フェンディ』の関係はファッション業界の中でも指折りの長い蜜月だと言えるでしょう。彼の訃報を聞いて本当に悲しく思ったし、最後まで気遣いや忍耐を忘れない姿勢に感銘を受けました。ショーの数日前に電話で話した時も、彼はコレクションのことだけを考えていたんです。本当にカールらしい。これから寂しくなります」とシルヴィアはプログラムに綴る。

Fendi - Fall/ Winter 2019 - Milan - Photo: CNMI

 拍手に包まれた会場で、大きなスクリーンにカールの在りし日の姿が映し出された。1965年、メゾンに就任して初めてのルックをスケッチした時の記憶をフランス語で語っている。
 
 「本当に大昔の話だ。60年代には控えるということを知らなかった。『チェルッティ(Cerruti)』のハットにロングヘア、サングラスに、『ジャン・ラヴァリエール(Jean Lavallière)』の柄ネクタイ、パネルつきのハンティングジャケットを着ていたよ。ノーフォークジャケットというやつさ。それにフランス風のキュロットとブーツ。バッグはミラノで買ったものだ。こんな感じでね。赤と黄色のスコットランドツイードだった。よく覚えているよ。ひどいものだが、これが1965年の私のスタイルだ」と肩をすくめるカール。手元のスケッチブックには美しいイラストが出来上がっていた。
 
 「F」を逆さまにしたロゴはカールが考案したもので、ライセンス料をもらったことがないとよく笑っていた。今シーズンは、1981年の「Karligraphy」バージョンが復刻。タイツやハイカラーのシルクシャツ、カボションボタンやファーのジャケットにもあしらわれていた。
 
 シャイニーなレザーブルゾンにマニッシュなブレザー、パンチングレザーのスーツと同素材の"ピーカブー"バッグなども美しく、よくできたショーだった。イブニングウェアでは、ブラウンのミンクでできたシャツにイエローのパイピングをほどこしたものや、パワーショルダーのドレスなどが目を引いた。

Silvia Venturini Fendi - Photo: CNMI

 ウィットに富んだ演出はきっとラガーフェルドも気に入ったことだろう。オープニングに流れたのは、ルー・リードとジョン・ケイルの『Small Town』だった。
 
 「小さな街で育った君は、ここに有名なやつなんていないと気付く」と歌うリード。実際、ラガーフェルドは人口3500人ほどの小さな街で育った。
 
 ショーの前には毛皮反対の活動家たちが会場入り口に押し掛けていたが、この日ばかりはカールの偉大なクリエーションに敬意を払って静かにしていてほしくもあった。
 
 ウェルギリウス曰く、「秀でた者は星に届く(Macte virtute sic itur ad astra)」という。
 
 

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