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ミラノ ファッションウィーク:ワーキングスタイルが復権

掲載日
today 2019/02/25
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 先日閉幕したミラノ ファッションウィークを一言で表すなら、「buon lavoro」。文字通り「よく働く」という意味だが、ムードとしてもスタイルとしても、これがぴったりとあてはまるシーズンだった。

Sportmax - Fall/ Winter 2019 - Milan - Photo: Sportmax/ Instagram


 「ミラノはイタリアの泡のようなものだ。国全体が苦境に立たされていても、この街には新しいエネルギーがある。リバイバルしたブランドや、育っていく若手に、新しいコンセプトなど様々だ」とイタリアファッション協会(Camera Nazionale della Moda Italiana)(以下、CNMI)のカルロ・カパサ(Carlo Capasa)会長。
 
 全体としては、パーティーウェアよりクリーンでシックなスタイルが主流となった。ファッションから建築まで、デザインのキーワードは「サステナブル」だ。2014年に完成したエコな高層ビル「ボスコ・ヴェルティカーレ(Bosco Verticale)(垂直の森)」に代表される。

 小物で特に目についたのは、ワーキングガールのためのビジネスバッグだ。ホルスターやウエストコート、レザースカーフといった形で登場したが、特に「スポーツマックス(Sportmax)」は新鮮な解釈が際立っていた。

Sportmax - Fall-Winter2019 - Womenswear - Milan - © PixelFormula


 「スポーツマックス」
 
 「マックスマーラ(Max Mara)」のセカンドライン「スポーツマックス」は、今シーズン素晴らしいランウェイを見せてくれた。
 
 高級アイウェアメーカー マルコリン(Marcolin)社製の新型サングラスはアシンメトリーなフォルムが面白い。また、アパレルではボンバージャケットやジャーキンのようなカッティングのブレザーと、捻りの効いたフューチャリスティックスタイルのスカートが特徴的だった。
 
 しかし中でもアクセントになっていたのは、レザーベルト、スカーフ、ジレに見られたジップ使いだ。ファッショナブルなユーリティリティを加えている。


Jil Sander - Fall-Winter2019 - Womenswear - Milan - © PixelFormula


「ジル・サンダー」
 
 「ジル・サンダー(Jil Sander)」では、チェロの音色が響く中、クラス感のあるショーが披露された。ルーク&ルーシー・メイヤー(Luke & Lucie Meyer)夫妻はユニークなヴィジョンを見せて大きな成功を収めたが、中でもスリーブレスのメルトンウールコートやドレスは、広い肩とVのフォルム、サイドのスリットで目を引いた。カラートーンは、ブラック、ホワイト、エクリュ、クリーム、ストーンと様々だ。野生の鳥の美しいドローイングが添えられたアイテムも目立つ。
 
 フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)時代の「セリーヌ(Céline)」ファンが流れるのはどこか、との問いに一つの回答が得られたような気がした。

Salvatore Ferragamo - Fall-Winter2019 - Womenswear - Milan - © PixelFormula


 「サルヴァトーレ・フェラガモ」
 
 80年代のサウンドトラックをバックに、ベテランのキャストたちが「サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」のキャットウォークを歩く。
 
 素晴らしい仕立ての服でブランドの圧倒的な生産力を見せつけるコレクションとなった今シーズン。ダークグレ-やフォレストグリーンといったストイックなカラーパレットで、膝丈のフルイドなスカート、チョークストライプやカーフレザーのジャンプスーツ、ウェストコートなどを提案した。マギー・ライザー(Maggie Rizer)、リヤ・ケベデ(Liya Kebede)、アレック・ウェック(Alek Wek)といったといった有名モデルが多数揃った。
 
 タータンチェックのウールのミディ丈スカートの完璧なカッティングはもちろん、似た素材で仕立てたスモールバッグもよくできている。レザー使いが特徴的だったが、特にスエードパンツにレザーストライプをあしらったものやコクーンコートが目を引いた。もう少しシルエットがスリークであれば言うことなしのコレクションだった。
 
 フィナーレには、ブランド全体のクリエイティブディレクターに昇格したばかりのポール・アンドリュー(Paul Andrew)が、メンズウェアデザイナーとして残留予定のギヨーム・メイヤン(Guillaume Meilland)と共に姿を現した。メイヤンはウィメンズに関してもスタジオディレクターとしてアンドリューのチームに加わる。


 「ボルサリーノ」
 
 紆余曲折を経た老舗ハットブランド「ボルサリーノ(Borsalino)」は、元「グッチ(Gucci)」ヴァイスプレジデントのジャコモ・サントゥッチ(Giacomo Santucci)を招き、現在大規模な立て直しを図っている。
 
 まずは注目度の高いコラボレーションを積極的に行っていく方針で、たとえばクチュールでは、「クリスチャン・ディオール(Christian Dior)」などの有名メゾンとの協業も視野にいれているという。さらに、「サカイ(Sacai)」ともコラボする予定だ。
 
 昨年7月、破たんの危機に陥っていた「ボルサリーノ」は、スイスを拠点とする投資ファンド、ヒエレス・エクイタ(Haeres Equita)の完全子会社となった。
 
 「『ボルサリーノ』は唯一無二のアクセサリーだ。これからは、複雑化する市場に新しいアプローチを行っていく」とサントゥッチは述べている。

Vivetta - Fall/ Winter 2019 - Milan - Photo: Vivetta/ Instagram


 「ヴィヴェッタ」
 
 イタリアの新しい才能として注目を集めるのが、「ヴィヴェッタ(Vivetta)」だろう。レトロでエキセントリックなファッションは奇抜ながらクレバーだ。デザイナーのヴィヴェッタ・ポンティ(Vivetta Ponti)はアッシジ育ちで、シュールレアリスティックな視点をスイートでシックなスタイルに昇華している。
 
 アブストラクトなフローラル柄のシルクコートや大ぶりなボウのついたショーツに、シャネル風の4つボタンジャケットは立体感のあるフラワー柄のベロアで仕上げた。また、ブリムから目が覗いているようなハットも印象的だ。他にも、シャーベットカラーのテディコート、スタッズとゴールドの刺繍をあしらったベルベットの胸当てにチュールスカートを組み合わせたチュチュなど、シアトリカルでありながら商品としての完成度も高いアイテムが揃った。


032C
 
 ミラノファッションの鍵を握る人物といえば、クラウディオ・アントニオーリ(Claudio Antonioli)だ。有名セレクトショップ「アントニオーリ」をはじめ、最近ではニューガーズ グループ(New Gards Group)の創業者として「オフ-ホワイト c/o ヴァージル・アブロー(Off-White c/o Virgil Abloh)」や「ヘロン・プレストン(Heron Preston)」など旬なブランドを展開している。
 
 そんなアントニオーリだが、今シーズンはベルリン発のマガジン「032C」のアパレルラインとパーティーを企画。テッキーなトラックスーツから映画「オーメン」のスウェット、ウォルター・ベンヤミンのポートレートをあしらったTシャツといったアイテムを発表した。また、別のTシャツの背中にはブレヒトの言葉が記されている。「暗い時代に そこでも歌は歌われるだろうか?歌われる 暗い時代について」。
 
 民主主義の理想や国家といったものの儚さを表現するのに、ファッションは時に便利な道具となる。異なる政党が存在し、自分達に投票する権利がある、という事実の有難みを忘れないためにも。

 
Officina del Poggio
 
 サステナビリティに真摯に取り組んでいるのは、アメリカ・テキサス出身で今はトスカーナ地方に暮らすAllison Hoeltzel Saviniの「Officina del Poggio」だ。モデルで環境活動家でもあるアリゾナ・ミューズ(Arizona Muse)のサポートも受けている。
 
 販売しているスクエアやオーバルの形のハンドバッグは、すべて廃棄された動物の皮革からできている。中にはオーストリッチの脚や、サーモンの皮でできたトートなども。作りはしっかりしていて、内側にはポプラを使用した。
 
 「ごみを減らしたくて考えたの。廃棄された素材を使おうとね」とアリゾナ・ミューズ。
 
 

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