fashionsnap
2019/06/11
第93回「装苑賞」は日本の伝統美術に着想した中国出身のソン・セイに栄冠、森永邦彦が審査に初参加
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2019/06/11
ファッションコンテスト「装苑賞」の第93回公開審査会が、文化学園遠藤記念館大ホールで開催された。装苑賞は、日本の伝統美術に着想した作品を発表した中国出身のソン・セイが受賞。トロフィーと賞金100万円、パリへの往復渡航券などが贈呈された。

装苑賞は日本初のファッションデザイナーの新人賞として1956年に設立。審査員には岩谷俊和やコシノジュンコ、高島一精、津森千里、廣川玉枝、皆川明、三原康裕が名を連ね、今年から「アンリアレイジ(Anrealage)」の森永邦彦が加わった。公開審査会では、2次審査を通過した16組がそれぞれのコンセプトを掲げた作品各3体をショー形式で披露。なお皆川は都合により欠席した。
大賞の装苑賞を受賞したソンは1984年生まれで、文化学園大学造形学部デザイン・造形学科を卒業。現在はアパレル会社に勤務している。公開審査会で発表した作品は、ソンが日本の伝統文化を研究するなかで出会った美術ジャンル「上下絵」に着想。万物を多面的に見ることで世界の捉え方が広がることを服で表現したという。6角形のパーツをつなぎ合わせ無縫製で仕立てた作品は、上下、前後を入れ替えても着用できるようになっている。
三原は「ひとつひとつのパーツに向き合う姿勢や、制作に対する哲学的な姿勢が伝わる作品。良い意味で"見ていて面白い醜さ"があり、そこを詰めていく将来性も感じられました」とソンを評価。どんなデザイナーになりたいかの問いに対してソンは「伝統と現代の面白い部分を独自の視点で融合した服を作れるデザイナーになりたい。今回の受賞はひとつのきっかけなので、頑張りたいと思います」と意欲を示した。
佳作1位の小口大輔はダンサーの激しい動きで服が壊れそうになった経験から、裂け目やほつれで瞬間的な動きを服に落とし込んだ作品を発表。2位に輝いたタイ・バンコク出身のラロパイブン・プワデトは目が不自由な夫婦の愛からインスピレーションを得て、イギリスの詩人ヘンリー・スコット・ホランド(Henry Scott Holland)の「Death is nothing at all」を点字で打ち込むことで繋ぎ合わせた服を披露した。PR01. Trade Show賞には、パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)の大作「ゲルニカ」を刺繍やスラッシュキルトで表現した村橋美咲が選ばれた。
■受賞者一覧
装苑賞:ソン・セイ「上下絵」(画像62〜65)
佳作1位:小口大輔「瞬間的衣服」(画像34〜37)
佳作2位:ラロパイブン・プワデト「Light Up The World」(画像50〜53)
PR01. Trade Show賞:村橋美咲「Guernica」(画像18〜21)
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