2015/07/10
ヴァレンティノのオートクチュールコレクション、ローマの空の下で美の讃歌を歌う
2015/07/10
9日夜、野外の会場で行われた「ヴァレンティノ(Valentino)」のショーは、ローマの空の下、美に捧げる讃歌となった。ローマ中心部にある名所、スペイン広場に面した場所にできる、世界最大規模のフラッグシップショップのオープン記念として開催された。

ブランドのクリエーションスタジオの窓の下、ミニマルな木製のランウェイを、サミュエル・バーバー作曲『アニュス・デイ』のしめやかな調べに合わせ、フラットサンダルを履いたモデルが滑るように歩く。
宵の微風が猛暑の街の熱を和らげるひと時、デザイナーのマリア・グラツィア・キウリとピエールパオロ・ピッチョーリ(Maria Grazia Chiuri & PierPaolo Piccioli)は、「異教とキリスト教、官能と厳格、暗闇と誘惑の交錯する謎めいたローマ」への旅へと観客を誘った。

まずは何を置いても「黒」がキーになる。聖職者のようなシルエットの黒いドレスは、同じく僧侶めいたケープに合わせられてはいるが、一方でトランスパレントな素材を用い、セクシーな面も垣間見せた。
また、トーガに始まり、イタリアのメゾンたるブランドに特徴的な色合い、「赤」も印象的だった。さらに、深緑とダークオレンジを基調にしたブロケードも登場。
金糸・銀糸の刺繍や、髪を飾るアクセサリーなど、荘厳でありながら、様々なところに洗練された要素が垣間見えた。
中には何百時間という仕事を要するものもあり、たとえばジオメトリックモチーフのミニケープドレスは、製作に2500時間も掛かった逸品だ。
83歳を迎えるヴァレンティノ本人は、イタリア人にとって「ファッション界最後の皇帝」だ。女優のグウィネス・パルトロー(Gwyneth Paltrow)の隣で、フロントローに顔を出した。
エヴァ・ガードナー(Ava Gardner)からシャロン・ストーン(Sharon Stone)、ジャクリーン・ケネディー(Jacqueline Kennedy)、ヨルダンのラーニア(Rania)王妃に至るまで、ヴァレンティノ氏は1968年から2008年の間、実に半世紀近く、世界中のセレブリティーの服を作ってきた。
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