2015/07/08
シャネルのオートクチュールコレクション、カジノを舞台に3Dのスーツを披露
2015/07/08
パリで7月7日に行われた「シャネル(Chanel)」のオートクチュールコレクションが、大きな話題を集めた。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)は、カジノを舞台に、おなじみのシャネルスーツを3Dテクニックでアップデートしたアイテムを披露した。

会場は大きなガラス張りの天井が特徴のグラン・パレ。カジノを模した内装で、観客は「プライベートテーブル」の席に着いた。中央のテーブルには、シャネルのジュエリーを身に着けたセレブリティーが顔を揃えた。クリステン・スチュワート(Kristen Stewart)、ジュリアン・ムーア(Julianne Moore)、ジェラルディン・チャップリン(Geraldine Chaplin)や、娘のリリー・ローズ(Lily-Rose)を連れたヴァネッサ・パラディ(Vanessa Paradis)、イザベル・アジャーニ(Isabelle Adjani)とダニエル・デイ・ルイス(Daniel Day-Lewis)の息子、ガブリエル・ケイン・デイ・ルイス(Gabriel-Kane Day-Lewis)などの姿も。
カジノのプレーヤーの間をねり歩くモデルは、ギャルソンヌ風の前下がりボブヘアに黒いストッキング、かっちりしたシューズなど、「狂騒の20年代」を思い起こさせるスタイルに。
様々な形で登場したスーツは肩を強調したデザインが多く、イブニングドレスにはフェザーや刺繍、花やビーズなどが。ラストをマリエで飾ったのは、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)の妹ケンダル・ジェンナー(Kendall Jenner)で、トレーンのついた白いパンツスーツを纏って登場した。
このコレクションで目を引いたのは、何といっても12ほどの型で展開されたシャネルスーツだ。レーザー焼結(SLS)法と呼ばれる3D技術により作られた。

「シャネルジャケットは20世紀最大の名品だが、当時は想像すらできなかっただろう技術を使って、21世紀のバージョンを作りたかった」とカール・ラガーフェルドはAFPに語った。「ジャケットは完全に一繋ぎの仕立てで、継ぎ目や縫い目は一切無く、型を取って作られたものだ」。
カールにとってこの技術は、「オートクチュールの可能性を広げる」ツールだという。今後、使用される機会も増えていくだろう。
「オートクチュールが生き残るには、その時代に合わせることだ。塔に閉じこもったまま眠っているだけでは、忘れられてしまう。今の時代にオートクチュールを買うのは、古きよきブルジョワではなく、若く現代的な女性達だ」。
「一昔前は、アメリカ人や南米の顧客が、ドレスを試すためにパリまでやって来ていた。しかし今は違う。更に裕福な層が世界中に存在し、こちらからプライベートジェットでドレスを見せに行く時代だ」とカールは付け加えた。
「シャネルには4つのオートクチュール用アトリエがあり、数百人が働いているが、オーダーが頻繁でいつも手一杯といった状態だ。顧客は大勢いる。しかし、こういった顧客というのは、表に姿を現さない。ショーにすら訪れず、別の世界に生きているような層だ」。
カジノラウンジの内装については?「私自身は賭けをしないが、人々がこぞって着飾っていた時代のカジノの雰囲気が気に入っていた。月末の家賃を稼いでやろうとか、そういう小っぽけなことなんか考えていないようなね。けど、今のカジノは少ししけた感じがする。皆着飾らなくなった」。
また、かつて「シャネル」のミューズだったイネス・ド・ラ・フレサンジュ(Inès de la Fressange)は、娘のヴィオレット(Violette d'Urso)がセレブリティーに混ざってカジノのテーブルを囲んだことに感動していた。
「娘がショーに出るのを見るのは初めて!モデルとしてではないけれど、とても堂々としていて感動したわ」とイネス。「カール・ラガーフェルドは宇宙人。あのクリエイティビティーを真似することなんて不可能よ」。
Par Anne-Laure Mondesert
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